研究課題
従来多結晶材料の結晶品質評価は主に結晶粒径,結晶の配向性で論じられ,結晶粒界の性状は隣接した結晶の結晶方位差でのみ評価されてきた.しかし,これらの評価指標では,同一の組成でも結晶粒径変化等では説明できないナノスケールの高機能材料物性の多様性(特性の分布広がり)は説明できず,バルク特性では発現しない脆性的な破壊挙動の発現メカニズムを解明することができなかった.本提案手法は,材料の結晶構造を,共に体積を有する結晶と結晶粒界からなる複合材料として捉えるという革新的なものであり,結晶と結晶粒界の様々な物性を分離評価することで,材料物性の支配因子解明に資する重要なナノスケールでの材料評価学術基盤を構築するものである.さらに本手法はバルク材料の結晶粒界品質評価や異種材料界面近傍の結晶品質評価など極めて汎用性の高い材料評価技術として展開できる可能性が期待できるものである.本研究においては,電子線後方散乱回折技術を応用し,電子ビーム径を50 nm以下に集束して走査し,局所的に得られる菊池線模様の信号品質を定量的に評価し,結晶品質の二次元分布を定量的に可視化する手法を開発した.特に結晶粒界品質に着目し,半導体デバイス用薄膜配線の初期特性や,エレクトロ&ストレス・マイグレーションによる劣化寿命が新たに提案した粒界品質指標で定量的に予測評価できることを明らかにした.また,原子配列の秩序性という品質指標を用いることで,材料内部の原子拡散の進行状況を定量的に可視化することが可能となり,原子拡散を加速する劣化支配因子として.低品質ランダム粒界の存在確率と,隣接結晶粒間の品質勾配の存在を明らかにした.さらに,これらの品質が薄膜下地材料との格子不整合で律速されていることを明らかにし,材料システムの信頼性向上設計指針を確立した.
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Proc. of IEEE the 63rd Eelectronic Components and Technology Conference
巻: 63 ページ: 635-640
Proc. of ASME2013 International Technical Conference and Exhibition on Packaging and Integration of Electronic and Photonic Microsystems
巻: 12 ページ: 1-6
Proc. of 18th International Conference on Simulation of Semiconductor Processes and Devices
巻: 18 ページ: 264-267
Proc. of 2013 Inter Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS
巻: G7 ページ: 864-865
www.miura.rift.mech.tohoku.ac.jp