研究課題/領域番号 |
24656082
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岸本 喜久雄 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (30111652)
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研究分担者 |
因幡 和晃 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00408725)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 機械材料 / 材料力学 / 連続体力学 / キャビテーション / 逆問題解析 |
研究概要 |
ポンプなどの流体機械等において問題となるキャビテーション壊食について,その機構を解明し,安全性評価に繋げるためには,マイクロ・スケールに作用する衝撃力とそれによる損傷を正確に評価することが重要である.そこで,本研究では,単一気泡発生装置と局所的に作用する衝撃力を高精度に測定するシステムを開発することを目的とし,ひずみゲージ,加速度センサ,レーザ変位計などの複数の種類のセンサを組み合わせ,それらのデータより作用点における衝撃力の時間変動を高分解能で逆解析して壊食機構の解明や,壊食のモニタリングへの活用を目指している. 本年度は,マイクロ・スケールに作用する衝撃力の測定を目指し,衝撃力解析班,気泡実験班の2班体制で研究を遂行した.衝撃力解析班では,金属ブロックに衝撃力を作用させて衝撃応答から衝撃力を離れた位置に複数個配置したセンサで測定するためのシステムを開発し,逆解析法の高度化による測定精度の評価を行った.また,気泡実験班では,固体壁近傍で水中火花放電による単一のキャビテーション気泡を生成・崩壊させるための装置の開発を目指した.当初は表面を凹型にしたピストンの急激引張により,引張波を局所的に集中させて,単一の気泡を生成させることを試みたが,複数の気泡が生じてしまう結果となった.そこで,代替手法として,水中火花放電により気泡を生成させることを試み,固体壁近傍で単一の気泡を生成させることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の計画において,衝撃力解析班は逆解析手法による衝撃力計測システムの構築を目標とし,気泡実験班は固体壁近傍における気泡一個の生成・崩壊挙動の観察を目標とし,それぞれの目標を達成した.衝撃力解析班は,インパクトハンマを金属ブロックに衝突させて,AEセンサを用いて裏面で衝撃応答を測定して測定データから衝撃力の大きさの時間履歴を推定するための逆解析手法を構築した.また,気泡実験班では水中火花放電により固体壁近傍で気泡を一個生成するシステムを構築した.当初は表面を凹型にしたピストンの急激引張による気泡一個の生成を試みたが成功に至らず,代替システムを構築した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究はH24年度とH25年度の2年間の研究計画であり,H25年度は,最終年度として衝撃力解析班と気泡実験班の成果を統合して実験を行う.H24年度に気泡の生成・崩壊時における流れの可視化のためのレンズを購入しており,高速度カメラと併用して水中火花放電により固体壁近傍で生成した気泡一個の生成・崩壊挙動を観察する.また,レーザ顕微鏡で固体壁損傷部の観察を行い,測定した衝撃力の検証を行う.さらに,キャビテーションタンネルにおける測定試験において,測定した衝撃力と流路内に直接設置した圧力センサにおける測定値とを比較することで構築したシステムの最終的な評価を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験で使用する消耗品を研究期間中継続して使用する必要があり,その予算を計上している.また,情報交換や研究成果を学会にて報告するために必要な出張経費,および論文発表の際の諸経費を計上している.
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