研究概要 |
外力によりFRPの層間に微細き裂が発生し破壊が開始する報告が多くなされている. 安全性と信頼性を高めるために, FRPだけでなく, 構造材料の自己診断性・自己修復性が近年重要視されている. 本研究は,人間の傷を自己治す仕組みを模倣して, 毛細血管のように修復材を連続的に供給するシステムを提案する. き裂検知システムでの光ファイバを併用し, 修復材の硬化を起動する機能を付加し, 長時間運用可能な自己修復FRPを目指す. 試作した自己修復機能をもつFRPに対してJIS規格のDCB試験法を参考にして, FRP層間き裂を発生させ,微細チューブを通じて, UV硬化樹脂をき裂部に注入する. き裂部に硬化用のUV光を自動的に送りこみ, き裂修復が試みた. その結果, 修復可能であることが確認された. また, FRP構造にワンチップつきの自己修復システムを組み入れ, 自動制御動作(UV照射用の光路に自動に切り替え, 樹脂自動送りこみ)を確認し, その実用性を確認し, 修復システムを完成させた。テストの結果, 修復可能である. 自己修復システムを持つFRP構造では, 付加部品の影響で, その力学特性低下が予測されている. 引張り曲げ試験でその力学特性を評価し, 付加部品による力学特性の低下の最小限化を試みた. 結果, FRPの力学特性が85%以上維持できた.
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今後の研究の推進方策 |
人間の傷を自己治す仕組みを模倣して, 毛細血管のようにFRPへ修復材を連続的に供給するシステムを組み入れた自己修復FRPを検討し, 安定的に運転でき, 実用に近い構造に仕上げる. FRP材料の本体が透明性をもつGFRPに対して, 外部からUV光を注入できるから, 光ファイバが不要な低コスト版の FRP自己修復システムを提案し, その材料とシステムを試作する. その影響要素や修復率の向上方法などを検討する.
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