平成25年度には,複数撮像素子による三次元変位分布・ひずみ分布計測の原理を検証する実験を行った.3方向の変位を計測するためには,最低3個の撮像素子が必要となるが,それ以上に増やすことでランダムノイズ成分を低減できることを確認する実験を行った.そのための実験用の光学系とソフトウェアの構築を行った.キャリブレーションを行うための基準面として,3方向の任意の微小変位を与えることができる3軸ピエゾステージに取付けた平板を用いた.再生像の画素毎に平板の変位と,変位前後の位相差の関係を記憶しておくことで,解析領域の全画素でキャリブレーションテーブルを作成するようにした.同じ3軸ピエゾステージを用いて変位計測実験を行ったところ,本提案手法により3方向の変位計測が可能であることが確認できた.また,撮像素子を5個に増やして同様の実験を行った結果,撮像素子の配置によっては3個の場合よりは精度の高い結果が得られた. 本研究成果によって,変位分布・ひずみ分布計測に複数の撮像素子を用いる手法の可能性が確認できたと言える.光学系を1光束にするだけでよいため,装置の小型化が実現できるようになる.この手法を用いることにより,ハンディなデジタルホログラフィによる計測装置が実現でき,屋外の大型構造物の欠陥検査に役立つ装置を開発することができるようになる.
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