研究概要 |
光電子制御プラズマイオンソースを用いてドライ研磨プロセスには、イオンの運動エネルギーによる研磨対象基板の表面状態が影響を受けており、イオンの運動エネルギー区分は大きく分けて光電子制御タウンゼントとグロー放電により違う。そのため、この二つの放電領域の放電特性及びその中のイオンエネルギーを解明することが重要である。現在までに光電子制御プラズマイオンソースの希ガスHe, Ar, Kr, Xeにおける放電特性を調べ、更にラングミュアプローブを用いてアルゴンプラズマにてプラズマポテンシャル及びプラズマパラメーターなどの平坦化への応用となる指標の測定を行っていた。そして得られたイオンエネルギーと過去の文献において報告されているイオンエネルギーと物質表面との相互作用と比較することで、光電子制御プラズマイオンソースは低エネルギーのイオンを有することを確認し、光電子制御プラズマイオンソースは平坦化プロセスには有用であることが分かった。 イオンエネルギーの結果を踏まえ、アルゴンプラズマを用いてSiウェハー裏面に蒸着したCu膜の表面粗さ低減に成功した。その結果としては光電子制御プラズマグロー放電に処理した基板,観察領域100×100μm2においては最大77%の増加率を示したが、一方観察領域5×5μm2においては69.8%の減少率が得られた。これは大面積観察にはプラズマ処理により生成した突起物が含まれたため、処理後の粗さが増加したと考える。突起物を含まない領域では表面粗さが低減したことが分かった。これに対して、光電子制御プラズマタウンゼント放電に処理した基板は両観察領域において43.4%と54.5%の減少率を示した。タウンゼント放電処理による基板粗さ減少はイオンのフラックスがグロー放電より低いことから、表面拡散を利用した光電子制御プラズマによる平坦化プロセスは、イオンエネルギーのみならず、イオンフラックスも重要なパラメーターだと考えられる。
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