研究課題/領域番号 |
24656094
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
周 立波 茨城大学, 工学部, 教授 (90235705)
|
研究分担者 |
清水 淳 茨城大学, 工学部, 教授 (40292479)
小貫 哲平 茨城大学, 工学部, 准教授 (70400447)
尾嶌 裕隆 茨城大学, 工学部, 講師 (90375361)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 音響浮揚 / 定在波 / 多重反射 / ツイン振動子 / 砥粒加工 / 除染・洗浄 |
研究概要 |
本研究は,音響浮揚(Acoustic Levitation)の原理に基づいて,音のエネルギーにより非接触で粒状除染剤を駆動し,制御可能な運動を与えて複雑形状の管内の研磨・除染を行なう方法の考案及び装置の開発を目指す.本提案の加工法は音波を介して非接触で砥粒に運動エネルギーを与えるため,砥粒及び工作物の材質に制約がなく,これまで培った砥粒加工のノウハウがフルに活用できる.さらに機械運動機構が必要としないため,加工装置が簡単かつ小型になり,特に原発の配管内面のようなアクセスが極めて困難な箇所のクリーニングや除染が可能になると期待される. 本年度では,位相シフトが可能な第2世代の実験装置の開発を中心に,以下の研究課題を取り組んだ. 1)音響理論に基づいて放射と反射による多重反射による定在波の生成条件を明らかにし,速度ポテンシャル場から得られる浮揚力の理論計算を行った.2)コンフィギュレーションについては,単一振動源(放射板/反射板の組合せ)と位相シフト可能なツイン振動源(放射板/放射板の組合せ)を比較し,定在波生成および浮揚力における後者の優位性を明らかにした.3)上記の理論計算に基づいて,単一振動子およびツイン振動子からなる実験装置を2台設計・製作した.4)粒子の浮揚及び位置制御に関しては,理論計算とほぼ同じ結果を実験より確認した.5)一方,浮揚粒子のサイズ及び比重の閾値においては,理論値と実験地の隔たりが大きく,次年度の研究指針を得ることができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画に従って,音響理論に基づいて放射と反射による多重位相を持つ音波の定在波形成条件およびその速度ポテンシャル場の理論計算を行い,浮揚条件などを明らかにした. また,配管内面研磨を想定したテスト用装置を設計し,単一振動源(放射板/反射板の組合せ),位相シフトが可能なツインの振動源(放射板/放射板の組合せ)からなる実験装置を2台制作・開発し,その動作確認をした. 上記の研究成果を国内外の学会で公表した.
|
今後の研究の推進方策 |
H25年度前半には,上記開発した加工装置に実際の粒子を実装して,浮揚実験および砥粒運動の制御とその計測を行なう.まず,砥粒の浮揚及び運動に対する1)振動子出力(振幅、周波数)の影響,2)工作物形状の影響,3)媒体(気体,液体)の影響について調べて,特に画像処理技術を駆使して砥粒運動軌跡を計測し,その制御因子を抽出する.また実験結果と上記シミュレーション結果により砥粒の浮揚及び運動制御条件の最適化を行なう. H25年度後半には,実際に配管内面研磨加工実験を行い,除去率,表面品位などの研磨加工結果について評価する.一方,加工結果に及ぼす加工条件の影響を解明するとともに,本加工方式における除去メカニズムを考察し,今後の研究の方向付けを行なう.
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初想定していた超磁歪(GMM)振動子をランジュバン型に変更したため,H24年度20万円ほどの残高が生じた.一方,H25年度には,開発した2台の実験装置を使って配管内面の除染・洗浄実験を行う予定のため,工作物の配管,砥粒などの消耗品にかかる費用が増えると予想される.前年度の残金を消耗品費に充てる予定である.
|