研究課題/領域番号 |
24656100
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉野 雅彦 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40201032)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 機械工作・生産工学 / 金属生産工学 / 鉄鋼材料 / 静的再結晶 / プレス加工 / モーター / 鉄心 / 結晶方位 |
研究概要 |
小型モーターは自動車、家電、情報機器など多くの工業製品に多数用いられており、そのエネルギー効率の向上は世界レベルでの電力消費量削減ならびにCO2排出量削減に非常に大きな効果がある。小型モーターの効率向上には、ローターやステーターなどモーターの鉄芯の磁気特性の向上が有効であることから、本研究ではモーターの鉄芯のプレス加工を利用し、鉄芯中の磁力線の経路・分布に沿って鋼板の結晶の磁化容易軸(<100>方位)を揃えることが出来れば、各種小型モーターの効率を向上させることができると期待される。そこで本研究では純鉄板を試験材料とし、剪断塑性ひずみ付与による結晶方位制御の可能性を明らかにし、その原理を検討することを目的としている。 平成24年度は試験片に種々の剪断ひずみを与えるためにプレス装置を模擬した実験装置を開発した。本装置は鉄板の剪断加工を行いながら同時に工具に微細な振動を加える装置であり、パンチとダイのクリアランス部に繰返し剪断応力を与えることが出来る。 さらにこの試験片を焼鈍し再結晶を起こさせる。焼鈍前後の試験片についてEBSD装置で分析し、結晶粒径、結晶方位分布などの違いを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の目標であった実験装置の開発が完了し、また一連の実験手順およびEBSD装置による分析方法も確立した。この実験により、再結晶による結晶方位分布変化が検討できることが確認できた。今後はプロセス条件を変え、それが結晶方位分布にどの様な影響を与えるかを定量的に検討する予定である。 よって当初目標を達成しており、順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度で実験方法が確立できたので、H25年度はプレス加工条件、応力振動条件、熱処理条件を様々に変化させ、EBSD分析により再結晶粒の結晶方位分布を調べ、加工条件・熱処理条件が結晶方位分布にどの様に影響するかを定量的に検討する。再結晶粒方位と加工条件との間に相関が見つかれば、結晶方位を任意に制御することが可能になる。 H25年度は実験結果について学会等で積極的に発表して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は、実験装置の開発に研究費の多くを使用する予定であったが、装置開発のコストを低く抑えることができ、また国内旅費および人件費が予定より少なかったため、未使用額が生じた。 次年度は、未使用額も含めて実験経費(消耗品、工具、素材、装置使用料)、旅費、学会参加費などに用いる。
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