研究課題
単原子層の厚さを有する炭素(C)原子から成るグラフェンは、比類の無い優れた電気的性質を有するため、世界的に注目されている。シリコンカーバイド(SiC)表面を加熱する熱分解法は、グラフェンを得る有力な手法である。しかし現状では、グラフェン形成時に同時に起こる、高温条件下でのSiC表面のバンチングステップの出現や、テラス内でのピット形成により、グラフェンが本来有するはずの電気特性が得られていない。そこで、独自の超平坦SiC表面に大気圧プラズマ処理を施すことにより、巨大なバンチングステップが無く、かつテラス部に欠陥が無い、優れた電気的性質を持つグラフェンの形成を目的として実験を開始した。昨年度までに、SiC表面をHeベースの大気圧プラズマに曝す実験を行った。その結果、プラズマ中に含まれる微量の酸素及び水分に由来する酸化種により、SiC表面が酸化される際に、酸化膜とSiC基板の界面にモノレイヤオーダーのC原子が出現することを見出した。フッ酸浸漬により表面の酸化膜を取り除き、得られたCリッチなSiC表面を真空中においてアニールすることにより、500nmオーダーの幅を持つテラス内のピット密度が極めて低いグラフェンの形成に成功した。また、CリッチなSiC表面を初期基板とすることによって、従来のグラフェン形成温度(1250℃)よりもやや低い、1100℃においてグラフェンが形成されることを見出した。また、得られたグラフェンの電気化学的な活性を評価するための実験系を整備した。以上の成果を踏まえ本年度は、当初予定通りに米国材料学会にて発表を行うと共に、専門誌への論文投稿や他学会への参加・登壇により、研究成果を広く公表した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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