研究課題/領域番号 |
24656104
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高谷 裕浩 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70243178)
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研究分担者 |
林 照剛 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00334011)
道畑 正岐 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70588855)
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キーワード | 局在型表面プラズモン / 伝搬型表面プラズモン / 表面増強ラマン散乱 / ナノ研磨プロセス / 表面微細構造クラスター / 反応性ナノ粒子 / 化学的相互作用 / 水酸化フラーレン |
研究概要 |
本研究は,10の14乗倍以上に増強されたプラズモン励起ラマン散乱光計測に基づいた,CMP加工プロセスにおける反応性ナノ粒子の化学的作用の解明を目的とするものである.本研究課題では,提案する反応性ナノ粒子研磨プロセス計測原理を実証するため,水酸化フラーレンおよびポリグリセロール修飾ナノダイヤモンド(ND-PG)を利用した新たな銅配線層表面のCu-CMPに適用することにより,研磨プロセス可視化の可能性について検討した.まず,近接場照明により表面から70 nmの局所領域の分析に特化したラマン分光装置を構築し,局在・伝搬型SERS計測基本光学系の設計・試作を行った.さらにそれを用いてSERS計測を遂行し,実験装置の基本性能を検証した.本提案手法の実現性を示すため,ガラス基板表面に成膜した厚さ25nmの銅薄膜を加工試料に見立てて水酸化フラーレンを分散させた溶液中に浸漬した.その結果,銅表面との反応を開始する水酸化フラーレン分子による伝搬型表面増強ラマンスペクトルの計測および解析に成功した.Cu-O結合のスペクトルが検出されたことから,銅表面において水酸化フラーレンと銅との化学的吸着が起こり,2個のOH 基が1つの銅元素に配位した錯体を形成するものと推察される.次に,水酸化フラーレンによる化学的な研磨が進行し,銅表面の微細構造が変化する過程において,局在型表面プラズモンによって励起された,表面近傍の水酸化フラーレンによる表面増強ラマンスペクトルを選択的かつ高感度に計測することに成功した.また,スペクトルの時間変化が水酸化フラーレンと銅との反応過程における表面微細構造変化を反映していることを示した.さらに,多数の水酸基で化学修飾されたND-PGの研磨特性を予測し,100nmサイズのND-PGによるCu-CMPにおいて,仕上げ面表面粗さ0.9nmRMSという高い研磨特性を示した.
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