瞬間発熱ナノ粒子の基盤となる多孔質ナノ粒子製作のため,まず,霧化加熱装置の設計を行った.装置は超音波霧化装置でスラリーをミスト化し,それを窒素気流で温度勾配のある電気炉内にフローし,低温では微粒子の自己組織化と溶媒気化,高温ではポリスチレンビーズの気化により多孔質微粒子製造を実現できる仕様とした.装置完成後,ポリスチレンビーズとシリカゾルの混合ミストを用いて多孔質ナノ粒子の試作を行い,多孔質ナノ粒子ができていることを確認した.電気炉内の窒素流速,シリカゾル濃度,ポリスチレン粒径,シリカとポリスチレンの重量比等を種々変化させることで,様々な粒径,空隙率,空孔径の多孔質シリカナノ粒子を製作できた.作製したシリカ粒子を水素アニール,電子ビーム照射,溶融塩プラズマ電解法で還元を試みた.その結果,水素アニールでは今回の実験範囲で還元効果を確認することはできなかったが,電子ビーム照射では酸素の脱離が原因と思われる形状変化が見られ,溶融塩プラズマ電解では酸素の比率が大幅に低下して還元効果を確認できた.
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