設計や計画の領域においては,対象物の運動と変形を含んだ動的な世界を適切に設計・計画する問題が多く存在する.そうした問題の多くは,応用や制約に依存した解法が選択・適用されている.本研究では物体の運動と変形を四次元時空間の形状として静的に表現することにより,動的な世界に対する問題を俯瞰的に再定義し,新たな統合的な表現と解決の体系を提示することを目的としている.平成25年度は研究の最終年度で有り,以下の研究を実施した, 【四次元メッシュモデリングシステムの高速化】 実用的で大規模な問題を扱う上で,モデルの生成過程におけるアルゴリズムの検討を行い,データ量を大きく削減し高速に4次元メッシュモデルを生成可能な手法の提案を行った. 【四次元メッシュモデルの実応用適用への検討】 4次元で現象を表現することを利点を明示するために,ボールエンドミルによる切削加工への適用と,津波の陸上遡上プロセスの表現という異なる2つの領域への適用を行った.これにより,前者では一刃ごとに被削材を除去していく状態が明示され,後者では様々な波が時間差を持って陸上に遡上し,水没させていく過程が明示的に示された. 【時間経過した点群からの四次元メッシュモデルの生成】 三次元点群計測器を移動しながら変形する物体の表面データを取得し,そこから連続的な4次元メッシュモデルを生成する手法の検討を行った. これらの項目に加えて,4次元メッシュモデルを用いることにより,時間を含んだ動的な諸量が静的な形状属性として表現・操作されることを整理した.
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