研究課題/領域番号 |
24656108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 孝久 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60152716)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 金ナノ粒子 / スパッタリング / プラズモン / 吸収ピーク / 波長シフト / 色 |
研究概要 |
本研究は、ナノスケール表面粗さを利用した発色制御を実施するために、以下のことを実施した。まず、ECRプラズマ型イオンビームスパッタ装置を用い、透明石英基板上に金ナノ構造体を作成した。スパッタリング時間を制御し、一般的な金ナノ粒子の赤色とは異なった青色や緑色といった色の金ナノ構造体を生成した。その後、分光光度計を用いて生成したナノ構造体の光学特性プロファイルを取得した紫外~可視領域において、透過率および反射率測定を行ない、生成したナノスケール表面粗さを有する金表面での光吸収波長依存性を解析し、それぞれのナノ構造体におけるプラズモン吸収波長帯を同定した。さらに、光学特性プロファイルより吸光度の色座標データへの変換を行った。具体的方法としては、吸光度測定によって取得した透過率あるいは反射率のプロファイルに対して、等色関数を用いて人の目の赤、緑、青それぞれの分光感度を考慮したXY表色系の色座標への変換を行った。これによって、実際に人間の目に光の色がどのように映るかを評価した。 金ナノ構造体の表面粗さ状態を高分解能で観察する方法として、FE-SEMによる表面観察を実施した。FE-SEMについては上面のみならず断面からの観察も行ない、表面構造を三次元的に評価することができた。 ナノスケール表面粗さによる発色性発現のメカニズムを解明するため、金ナノ構造体の吸収特性を数値計算により実施した。直接観察から得られたナノ構造体の形状、サイズ、間隔をもとにモデルを構築し、極微小な領域の金属表面近傍での3次元電磁場解析法を用いた計算を実施した。その結果、プラズモンピークシフトが粒子間隔および粒子形状に由来するということがわかり、数値計算結果と実験結果との相関がとれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
貴金属のナノ粒子を作成し、SEMで観察しその画像解析結果より粒子の形状分布を調べ、その結果と電磁場解析結果とを比較検討した。さらにナノ粒子の色について、光学測定を行い人間の目にどのように見えるのかについての変換を行い、色座標表示を行った。また、プラズモン吸収波長のシフトの要因を粒子間隔、粒子形状の点からモデル化し数値計算を実施し、実験との相関が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、第一原理計算より金の電子状態を求めさらにナノ粒子における誘電率を求めることにより、さらに厳密な解析を行いたい。 また、成膜条件(プラズマ加速電圧、成膜温度)を変化させて成膜を行い、比較検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
コンピュータ 第一原理計算ソフト
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