研究課題/領域番号 |
24656111
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岩井 善郎 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40115291)
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研究分担者 |
宮島 敏郎 富山県立大学, 工学部, 講師 (60397239)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオフィルム / 酸化チタン / ウェットブラスト / Ti / ステンレス / 紫外線 / 機能表面 / MSE |
研究実績の概要 |
今年度の計画に沿って、TiO2粒子の供試材料表面への効果について調べた。紫色に変色した洗浄こん試料に対してEDXによる元素分析を行ったところ、未洗浄面ではTiの位置にスペクトルピークがないが、洗浄こんではTiの位置にスペクトルピークが現れた。さらに、分子構造を推定するために、同箇所に対して顕微ラマン分光分析を行ったところ、洗浄こんでは変色度合いが大きいほど強い強度でピークが現れ、洗浄箇所のラマンシフトピーク位置とアナターゼ型TiO2のラマンシフトピーク位置が類似することがわかった。これらの結果から、洗浄こんの変色箇所にはアナターゼ型TiO2の皮膜が膜厚100 nm~150 nmで成膜されていることが明らかになった。 次に、納豆菌バイオフィルムの除去と洗浄面の滅菌性検証のためにATP+AMPふき取り検査を行った。その結果、処女面のRLU値は、15 RLUだった。培養後のバイオフィルムでは、バイオフィルムに含まれている細菌の影響で、RLU値が22432 RULと格段に大きいが、洗浄後はバイオフィルムが除去されたことで、RLU値が406 RULとなった。この時点では、バイオフィルムが物理的に除去されたのみで、洗浄箇所の滅菌は行われていない。洗浄後にUVを24時間照射した試料ではRLU値が13 RLUとなった。バイオフィルム除去後に残存していた細菌が、洗浄箇所の滅菌効果によって、死滅したためである。また、水接触角測定を行った。洗浄後の試料の水接触角と、洗浄後にUVを24時間照射した試料の水接触角を比較すると、水接触角は約22%減少し親和性が向上したことがわかった。さらに、AFMで洗浄面の粗さを測定したところ、非常に微細な表面粗さを有することがわかった。 以上の結果から、スラリージェットエロージョン法によるバイオフィルム除去技術の開発の可能性を実証できた。
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