研究概要 |
単純な構造で安定的な攪拌混合が期待されるTaylor渦(Taylor Vortex Flow:TVF)に着目したバイオリアクターの開発を目的として、前年度に続き浮遊細胞、Bio-polymer担体への固定化細胞の両面から増殖特性を調べた。また効率的な撹拌について、Aeration法、インペラー撹拌法、TVF法の混合過程を可視化実験と超音波計測による速度論から解析した。藻体細胞の破壊検証については、これまでの可視光670-680nmの波長吸光スペクトルに加えて新たに紫外線領域の吸光スペクトルも導入して検討した。撹拌混合では前年度の再現性も含め、ヨウ素ハイポ法を実施し、インペラー撹拌では高Reynolds領域でも羽根上部に孤立混合領域が明確に観察されたことから、孤立混合領域のないTVF混合の優位性が示された。また、Aeration法では浮遊細胞では他の撹拌と大差なかったが、Bio-polymer担体による固定化法において槽底部での沈殿が顕著に見られ、不均一性の観点から大きな問題を呈した。超音波による速度計測もノイズ除去法が向上したため、Reynods数20,000までの振動計測が可能となった。これらよりカオス流から弱い乱流へ遷移する過程においてTVFの均一混合が促進されるパターンが確認された。藻体破壊測定法の開発において、せん断に弱い植物藻体を用いて可視光吸光スペクトルでのクロロフィルの同定と紫外吸光を実施した。可視光ではReynolds数50,000までの高領域においても破壊は確認されず、また増殖も順調に増加した。紫外線領域ではインペラー攪拌により高い吸光度が観察され、新しい測定法に期待されるところも大きいが、検量線の線形性についてより他角度から調べる必要がある。
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