最終年度である平成25年度は、前年度に課題であったレンズと光源、カメラの選定をまず行った。レンズに関しては、市販の対物レンズ単体では軸上色収差が極めて少なくなるように設計されているため、光学設計ソフトウェアを用いて新たに市販のレンズ数枚組み合わせを検討した。その結果、球面収差などの不要な収差を抑えつつ、必要な量の軸上色収差量を有する組み合わせを実現した。また、色収差光学系をシステムの中央、共焦点スキャナと対物レンズの間に挿入することで、色収差を発生しつつ対物レンズの交換による倍率の変更を容易にしている点も、実用性の面から非常に有用であると考えられる。 光源は、やはり基本的に蛍光を用いる光学系ではないため、白色光を用いて色収差を発生させ、その散乱光を撮像素子にうまく導く必要がある。さらに、本実験においては共焦点スキャナの複雑な光学系を通過するため、光源の質や広がり角などをスキャナの設計値に合わせる必要ある。そこで、いくつかの光源を試した結果、共焦点スキャナに最も適したLDLS光源の採用を決定した。本光源はレーザと同様にシングルモードの光ファイバを用いることができる唯一の白色光源であり、共焦点の効果を損ねることなく白色光を導入できる。 カメラは、対象画像が粒子などの非常に細かい輝点であり、さらにその色情報を取り扱うため、単板式のカラーカメラでは偽色による不具合が生じることが判明した。これは画像処理アルゴリズムを用いて改善したとしても、それが計測誤差につながる恐れが強いため、好ましくない。そこで、三板式のカメラを導入し、画像の質の向上が確認できた。現時点で販売されている三板式カラーカメラは撮影速度に限界があるが、今後改善が期待できる。 PTVアルゴリズムに関しては特許を視野に入れているため、詳しくは述べられないが、取得したサンプル画像を用いての開発と精度検証を進めている。
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