本研究では,非イオン性界面活性剤水溶液と紫外線吸収剤を混合した溶液に,UVを照射することにより,DR効果を局所的に消失・発現させ,流れを減速・加速させる流れの制御方法の開発を目指している.本年度は,UV照射時間とDR効果との関係,ならびに界面活性剤と紫外線吸収剤のモル比依存性を明らかにした.さらに,一軸伸長流れの過渡特性について明らかにすることで,レオロジー特性との関係を調査した. 本研究において使用する非イオン性界面活性剤は,AROMOX(ライオン・アクゾ株式会社製)を水道水に溶解させたものである.AROMOXは,オレイルジメチルアミンオキシド(ODMAO)を主成分とする混合物である.また,紫外線吸収剤としてオルトメトキシケイ皮酸(OMCA)を用いた.ODMAOの濃度を500 ppmとし,ODMAOとOMCAのモル比を0.2,0.5,0.8と変化させた. モル比に依らず,UV照射時間の増加に伴い,最大抵抗低減率(最大DR)と最大DRとなるレイノルズ数(臨界レイノルズ数)は共に減少することが明らかになった.また,モル比0.2,0.5,0.8の溶液はそれぞれ,UV照射時間が4,8,12時間を超えるとDR効果にほとんど変化が見られなくなるが,これは,trans-OMCAからcis-OMCAへの光異性化がほぼ完了したことによると推察される.
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