研究課題/領域番号 |
24656136
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 裕 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00314229)
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研究分担者 |
吉田 英生 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50166964)
齋藤 元浩 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90314236)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 固体酸化物形燃料電池 / 加湿予混合ガス / 改質反応 / 熱利用 |
研究概要 |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)に燃料のメタンと空気を予混合で供給する発電方法の成立性を,実験的に明らかにすることを目的とする.予混合気を積極的に加湿し主に接触酸化反応による発熱を利用して,吸熱反応である水蒸気改質を燃料極上で進行させることに特徴がある.まず,加湿予混合気を供給する場合の,Ni-YSZ燃料極の酸化触媒あるいは改質触媒としての性能を実験的に調べた.試験電極を流路壁面に設置し,発電がない状態で予混合ガスを供給した.供給ガスの組成,流量をパラメータとし,気相燃焼が生じない600℃程度の温度条件において排出ガス成分をガス質量分析装置とガスクロマトグラフで計測した.無加湿の混合ガスで接触酸化の,無酸素の混合ガスで水蒸気改質の基礎データをそれぞれ得た.さらにメタン,酸素,水蒸気が共存する条件での実験を行ったところ,酸素が存在する上流部ではメタンの酸化が進行し,水蒸気改質反応が相対的にそれより下流で生じることがわかった.供給ガスの加湿量が多い場合には,下流域での水蒸気改質を促進するほか,シフト反応によって,メタン1モルあたりの水素発生量を高めることができた.酸化反応と水蒸気改質反応が熱的にバランスするようなメタン,酸素,水蒸気の混合比を見出した.さらに600℃程度の温度域で自作セルを用いた発電実験を行ったところ,供給ガスの条件を調整することで0.9Vの開回路電圧が得られ,予混合SOFC発電の可能性を確認することができた.いっぽうこの温度域でのYSZ電解質のイオン伝導度が高くないこと,および作製したセルは電解質厚さが500ミクロンの電解質支持型セルであったことから,本研究においては電池内部のIR損失が大きく有効な発電反応は達成されなかった.この点については,将来的には薄膜電解質を採用した電極支持型セルを使用することで,改善できる可能性が高い.
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