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2012 年度 実施状況報告書

マイクロビームセンサを用いた薄膜の面方向熱伝導率の測定法

研究課題

研究課題/領域番号 24656139
研究機関九州大学

研究代表者

高松 洋  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20179550)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード薄膜 / 面方向熱伝導率 / MEMSセンサ / 熱物性測定法
研究概要

本研究は,研究代表者が流体の熱伝導率測定法開発のために考案した梁状のMEMSセンサ(マイクロビームセンサ)を用いて,薄膜の面方向熱伝導率を測定する新しい方法の開発を目指したものである.本年度は,測定原理確立のための数値解析とセンサの試作を並行して行った.成果は以下のとおりである.
1.数値解析による測定原理の確認:実際にMEMSセンサを作製した場合,ビーム状センサの根元部分に 薄膜が突出したオーバーハングが形成される.そこで,オーバーハングを有するセンサを真空中で加熱した際の熱伝導数値解析を行い,温度上昇に及ぼすセンサの熱コンダクタンスおよびオーバーハング幅の影響を明らかにした.また,センサの上に形成した試料薄膜により熱コンダクタンスが増加し,結果としてセンサの温度上昇がどのくらい小さくなるかを定量的に明らかにした.その結果,オーバーハングが大きくなるほどセンサの温度上昇は大きくなるが,試料薄膜の形成前後のセンサ温度上昇比はオーバーハングに依存せず一定であることを見出した.したがって,オーバーハングの大きさにかかわらず,想定した測定対象の熱伝導率範囲に対して最適なセンサ寸法を決定できることが明らかになった.
2.センサの試作:流体の熱伝導率測定用に開発したセンサを本研究の目的に使用する為,より幅の広いセンサの作製を試みた.すると,センサ根元に亀裂が生じたため,溝のエッチング方法やセンサのアニーリング工程の見直しを行って所望の寸法のセンサを作製することに成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載していたとおり,数値解析による測定原理と方法の確認,およびセンサの作製法の確立がほぼ終了したため,計画どおりに研究が進行していると判断できる.

今後の研究の推進方策

今後は,当初の計画どおり白金センサを作製し,それを用いた試料薄膜の熱伝導率測定を実証する予定である.寸法の概略が長さ10ミクロン,幅1ミクロン,厚さ40nmのセンサを作製し,十分にアニーリングを行って,その電気的・熱的特性が時間とともに変化しないことを最初に確認する.そして,センサ上に同じ白金薄膜を形成して,その横方向熱伝導率を測定する.試料の白金薄膜はアニーリングを行わない状態で測定すると,その熱伝導率は白金センサより小さくなり,アニーリングを行うとその差が小さくなると予想されるので,実験的にそれを確認する.さらに,測定結果に基づき,バルクの熱伝導率との違いや電気伝導率との関係について検討する.続いて,金薄膜を試料とした同様の測定を行う.

次年度の研究費の使用計画

当初の仕様予定額と実績の差の主たる要因は,資料収集用の外国出張旅費を支出しなかったことにあり,その分は次年度7月の外国出張で使用する予定である.また,計画調書の段階で申請していたクライオスタットが予算減額のため購入できず,予備実験では現有の他目的の装置を流用したが,次年度は本研究の目的に合った真空チャンバーを製作する予定にしている.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] マイクロビームセンサを用いた薄膜の面方向熱伝導率の測定法2012

    • 著者名/発表者名
      別府充心
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2012
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      20121117-20121118

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公開日: 2014-07-24  

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