本研究は,電子デバイスに用いられる薄膜の面方向熱伝導率を比較的簡便に測定する方法の開発を目的としたものである.この方法では,マイクロビームセンサと名付けた長さ約10ミクロン,厚さ約40nmの白金製の梁型薄帯センサを真空中で加熱して温度上昇を測定した後,センサ上面に試料薄膜を蒸着して再度加熱後の温度上昇を測定する.そして,センサの温度上昇の差から試料薄膜の面方向熱伝導率を算出する.本研究では,厚さ20nmの金蒸着膜を試料とした測定を行い,その熱伝導率がバルクの値の30%程度であること,そして,その熱伝導率が140℃での熱処理により7%増大することを明らかにして,本測定が可能であることを示した.
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