研究課題/領域番号 |
24656148
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
前川 透 東洋大学, 理工学部, 教授 (40165634)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノテクノロジー / ナノ材料 / 自己組織化 / 自己集積化 / 臨界流体 |
研究概要 |
(1) 臨界点セルの製作 試験流体を封入するための臨界流体セルを作製した。流体分子分解過程で生成される酸素分子濃度が、今年度購入した酸素濃度計により計測できるようになった。 (2) 磁性カーボンナノチューブの生成 臨界点近傍アセトンにカーボンナノチューブ(CNTs)を分散させ、ニッケロセン(Ni(cp)2)と硫黄を混入することにより、ニッケルナノ粒子内包カーボンシェル(Ni@C)で修飾されたカーボンナノチューブ(Ni@C/CNTs)を作製した。流体温度が240 °Cにおいて最も効率良くNi@C/CNTsが生成された。磁気特性を測定し、Ni@C/CNTsが軟強磁性を示すことがわかった。 (3) 磁性カーボンオニオンの生成 臨界点近傍ベンゼンにNi(cp)2あるいはコバルトセン(Co(cp)2)を混入し、紫外線レーザー(Nd:YAG, 波長266 nm)を照射することにより、ニッケルナノ粒子内包カーボンオニオン(Ni@C)とコバルトナノ粒子内包カーボンオニオン(Co@C)を生成することに成功した。Ni@CとCo@Cが常磁性特性を有することがわかった。 (4) Fullereneナノファイバーの生成 ベンゼンにFullerene C60分子と硫黄を分散させ、シリコン基板上で液滴を蒸発させることにより、Fullerene C60分子と硫黄から構成されるナノファイバーを作製した。臨界点近傍二酸化炭素中に上記ファイバーを静置することにより、硫黄が抽出されファイバーが結晶化されることがわかった。 (5) ナノ二次構造形成のためのCNTsの生成 Plasma Enhanced Chemical Vapour Deposition(PECVD)法により、構造(内径・長さ・壁数)を精確に制御したCNTsを生成することに成功した。今後、CNTsから構成されるナノ二次構造を作製する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置の作製、測定観察システムの整備が順調に進み、臨界流体中において種々のナノ構造(磁性CNTs, 磁性カーボンオニオン, ナノファイバー 等)が自己集積化により形成されることを明らかにした。従来のナノ構造作製方法に比べ、低温でのナノ構造生成が可能になったことは画期的である。従って、当初の目的がほぼ達成できたと自己評価する。 4 編の論文を発表したが、今後、さらにインパクトファクターの高い論文誌に論文発表をする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究成果をもとに、 (a) 臨界点セルの改良、実験手順・実験条件の再検討を行い、また、研究代表者・研究協力者との連携をさらに強化し、さらに効率の高い流体分子分解法およびナノ構造形成法について考察する。また、実験に加え、流体分子の分解メカニズムおよびナノ構造形成メカニズムを理論的・数値的に解析する。 研究成果をまとめ(臨界流体中の分子分解・ナノ構造形成を普遍現象としてとらえる)、著名国際論文誌に投稿する。二酸化炭素および有害流体分子の低温/室温分解およびナノ構造の低温/室温生成のインパクトは国際的に高いと考えられ、インパクトファクターの高い国際論文誌への論文発表、著名国際学会での研究発表を積極的に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
機器備品費および消耗品費が予定額を下回ったため、残額を次年度に組み込み、以下のように研究費を使用する; 消耗品費:作動流体・ガラス・薬品等:500,000 円 その他:論文掲載料:101,106 円
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