研究課題/領域番号 |
24656148
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
前川 透 東洋大学, 理工学部, 教授 (40165634)
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キーワード | Nanostructures / Nanomaterials / Carbon / Critical fluids / Self-assembly / Self-organisation |
研究概要 |
1. 臨界点セルの改良・製作 試験流体として、二酸化炭素・有機溶媒(ベンゼン・アセトン等)を封入するための臨界流体セルを改良し作製した。流体分子の分解によって形成されるカーボンナノ構造体の生成量が多くなるよう、レーザー照射方法を改善した。流体分子分解過程で生成される酸素分子濃度を計測した。 2. 磁性カーボンナノチューブの生成 臨界点近傍アセトンにカーボンナノチューブ(CNTs)を分散させ、ニッケロセンと硫黄を混入することにより、ニッケルナノ粒子内包カーボンシェル(Ni@C)で修飾されたカーボンナノチューブ(Ni@C/CNTs)を作製した。また、細胞成長実験を行い、カーボンシェルのために磁性カーボンナノチューブの細胞毒性が低いことを確認した。 3. 磁性カーボンオニオンの生成 臨界点近傍ベンゼンに二種類のメタロセン(ニッケロセンFe(cp)2とコバルトセン(Co(cp)2))を混入し、紫外線レーザーを照射することにより、ニッケル・コバルトナノ粒子内包カーボンオニオン(Fe/Co@C)を生成することに成功した。また、Fe/Co@Cを焼きなますことにより、合金(Fe/Co)内包カーボンオニオンの生成に成功した。FeCo@Cが強磁性特性を有することがわかった。 4. Fullereneナノファイバーの生成 ベンゼンにFullerene C60分子と硫黄を分散させ、シリコン基板上で液滴蒸発過程を制御することにより、ナノファイバーから構成される様々なパターンを作製した。 5. ナノ二次構造形成のためのCNTs・Grapheneの生成 Plasma Enhanced Chemical Vapour Deposition法により、触媒の元素を変えることにより構造が変化することを確認し、中空触媒を使用することにより、高面密度のTriple-walled CNTsの作成に成功した。また、触媒ナノ粒子のパターン形成を制御することにより、CNTsのパターンを自在に変化させることに成功した。さらに、触媒を使用しないでGrapheneの鉛直方向成長に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨界流体中における自己組織化・自己集積化過程によるカーボンナノ構造形成が可能となり、当初の計画どおり研究を遂行することができた。また、国際論文発表・国際学会発表実績も順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究成果をもとに、臨界点セルの更なる改良、実験手順・実験条件の再検討を行い、効率の良い流体分子分解法およびナノ構造形成法について考察する。特に、フォトン波長とナノ構造との関係を明らかにする。また、流体分子の分解メカニズムおよびナノ構造形成メカニズムを理論的に解析する。研究成果をまとめ、臨界流体中の分子分解・ナノ構造形成における普遍法則を解明する。研究成果を著名国際論文誌に発表するとともに、著名国際学会での研究発表を積極的に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費が予定額を下回ったため。 平成26年度の消耗品費に含めて使用する。
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