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2013 年度 実績報告書

不凍タンパク質の融解抑制機能の発現

研究課題

研究課題/領域番号 24656149
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

稲田 孝明  独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (60356491)

キーワード氷結晶 / 不凍タンパク質 / 融解 / 結晶成長 / 負結晶
研究概要

不凍タンパク質(AFP)は、平衡融点以下のある温度領域(FH:freezing hysteresis)で、水溶液中の氷の成長を完全に抑制する機能を持つ。一方、平衡融点以上のある温度領域(MH:melting hysteresis)では、氷の融解を完全に抑制することも知られているが、これまでに報告されているMHは、FHと比べて1~2桁小さい。本研究では、本質的なMHは負結晶中(水溶液が結晶に囲まれた系)でのみ測定可能という仮説のもと、負結晶中でMHを測定し、FHと同オーダーのMHを検出することを目的とした。
初年度は、負結晶を用いて有意なMHの検出を目指した。単結晶氷内部に注射針を挿入して真空ポンプで減圧し、温度と圧力を最適化して結晶を内部から昇華させることで、まずは六角柱状の負結晶の作成に成功し、負結晶の六方晶系の結晶軸の特定が可能となった。さらに負結晶中にAFP水溶液を注入してMHの検出を試みたが、注入するAFP水溶液の精密な温度制御や、水溶液注入後の結晶融解・成長を測定するための局所的な温度制御、さらには水・氷界面の観察に課題が残り、有意なMHの検出にまでは至らなかった。
最終年度には、実験手法の再考や装置の改良を行い、初年度の測定上の課題を解決して、MHの検出を試みた。その結果、0.5mg/mLのIII型AFP水溶液(FH~0.2℃)で、負結晶に注入した水溶液中心部の過熱度を0.1℃とした場合でも、c軸とは平行でないピラミッド面で融解が停止することを確認した。これは、当初の検出目標であったFHと同オーダーのMHの存在を示唆する結果である。しかし、まだMHの定量的な評価に必要な氷・水界面の温度の特定には至っていない。今後は、さらに精密な負結晶内外の温度分布制御を実現し、氷・水界面の温度を特定してMHを正確に評価することを計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ice nucleation in water droplets on glass surfaces: From micro- to macro-scale2014

    • 著者名/発表者名
      稲田孝明、富田博之、小山寿恵
    • 雑誌名

      International Journal of Refrigeration

      巻: 40 ページ: 294~301

    • DOI

      10.1016/j.ijrefrig.2013.11.024

    • 査読あり
  • [学会発表] 固体面を起点とする氷の核生成についての考察2013

    • 著者名/発表者名
      稲田孝明、小山寿恵、富田博之
    • 学会等名
      第3回潜熱工学シンポジウム
    • 発表場所
      神戸大学(神戸市)
    • 年月日
      20131126-20131127
  • [学会発表] 固体・水界面での氷の核生成に対する接触面積の影響2013

    • 著者名/発表者名
      稲田孝明、富田博之、小山寿恵
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2013
    • 発表場所
      弘前大学(弘前市)
    • 年月日
      20131019-20131020
  • [備考] 産業技術総合研究所ホームページ

    • URL

      https://staff.aist.go.jp/t-inada/index_jp.htm

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公開日: 2015-05-28  

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