寒冷地の生物が持つ不凍タンパク質(AFP)は、氷の成長を抑制する機能を持つことで知られている。一方、AFPによる氷の融解抑制機能も期待されているが、これまでに有意な融解抑制効果を定量的に測定できた例はほとんどない。本研究では、AFP水溶液が氷結晶に囲まれた系(負結晶)でのみAFPの融解抑制が検出できるという仮説を立て、実際に負結晶を利用して氷結晶の融解実験を行った。その結果、AFP水溶液の平衡融点よりも高い温度域で、AFPが特異な氷結晶面に作用することにより、氷の融解が停止することが確認された。
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