研究課題/領域番号 |
24656151
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中西 為雄 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10235799)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 超音波ポンプ / 揚水メカニズム / キャビテーション雲 |
研究概要 |
新しい揚水メカニズムの詳細および特性を解明するための開放型実験システムを構築し、可視化実験により細管先端で発生するキャビテーション雲の構造および揚水メカニズムへの寄与を明らかにした。具体的に、 透明アクリル製容器の底面中心部に40kHzのランジュバン型振動子を取り付けた計測用開放型実験装置を製作し、ファンクションジェネレータ、電力増幅器、変圧器を使用し、振動子に任意波形・大きさの電圧を印加できるようにした。 高速度ビデオカメラによるキャビテーション雲の可視化実験を行い、揚水管先端と振動子表面の距離の違いにより、下向き型、上向き型および丸型のキャビテーション雲が観察され、効率的に揚水に寄与するのは、上向き型のキャビテーション雲であることを特定した。 異なる条件での超音波定在波の圧力分布、細管先端で発生するキャビテーション雲のパターン等を調査し、これらが揚水特性に与える影響を明らかにした。印加電圧の波形・振幅、水深および細管先端位置を変化させ、超音波定在波の圧力分布、細管先端で発生するキャビテーション雲のパターンを整理・分類し、それぞれが揚水特性に与える影響を明らかにした。異なる内径、外径、長さおよび先端形状の細管について実験を行い、高揚程、大流量が得られる最適な細管形状を特定した。 上記過程で得られた知見を整理し、理論的考察をした。現在はこれまでの研究成果をまとめ、学術誌に投稿する準備をしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の当初研究計画の8割り程度を実施できていることから、おおむね順調に進展している。研究成果の整理、発表にやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度研究の問題点を系統的に整理し、改良を続ける。周りおよび上方が透明なポンプの原型となる密閉型実験装置を製作し、初年度の手順を繰り返し、開放型実験装置の揚水特性との相違の有無、また、この実験装置を任意の角度に向けた場合の揚水特性の変化の有無を検証する。 単一細管を用いる場合のポンプとしての最適な構造、運転条件を実験により定め、ポンプの揚程、流量特性、揚水効率を改善する。さらに、静粛性、長時間運転の場合の温度特性を検証する。ポンプの小型化を目指して、より高い周波数(100kHz~200kHz)での運用の可能性を検証する。 細管群を用いる場合の最適配置条件を特定し、高揚程、大流量、高い揚水効率が得られるように工夫する。 これまでの成果に基づき、薄板状の超音波振動子を設計・使用し、ポンプの小型化を図る。 これまで得られた成果を系統的に整理し、国内外の学会で発表し、学会誌・学術誌に投稿することにより、研究成果を社会に還元する。必要に応じて、追加検証を行う。また、さらなる発展性についても考察していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
(1) 消耗品費:(a) 前年度作成した開放型実験装置の改良、変更および追加実験に要するもの、(b) 密閉型超音波ポンプの試作に要するもの (2) 40kHzの現象をしっかりと捕えられる高速度ビデオカメラのレンタル費:予算の都合により、スペックの低い高速度ビデオカメラしか調達できなかった。キャビテーション雲の振る舞いをより正確に解明するために、40kHzの現象をしっかりと捕えられる高速度ビデオカメラによる追加可視化実験が必要である。 (3) 謝金:大学院生1名の研究協力者に対する実験補助に要するもの (4) 成果発表旅費:2回分の国内旅費と1回分の外国旅費 (5) 論文別刷費用または特許出願費用
|