研究概要 |
平成24年度では、新しい揚水メカニズムの詳細・特性を解明するための開放型実験装置を構築し、可視化実験により細管先端で発生するキャビテーション雲の構造および揚水メカニズムへの寄与を明らかにした。 具体的に、透明アクリル製容器の底面中心部に40kHzのBLT型振動子を取り付けた計測用開放型実験装置を製作し、振動子に任意波形・大きさの電圧を印加できるようにした。高速度ビデオカメラによるキャビテーション雲の可視化実験を行い、揚水管先端と振動子表面距離の違いにより、下向き型、上向き型および丸型のキャビテーション雲が観察され、効率的に揚水に寄与するのは、上向き型のキャビテーション雲であることを特定した。印加電圧の波形・振幅、水深および細管先端位置を変化させ、超音波定在波の圧力分布、細管先端で発生するキャビテーション雲のパターンを整理・分類し、それぞれが揚水特性に与える影響を明らかにした。異なる内径、外径、長さ、先端形状の細管について実験し、最適な細管形状を特定した。開放型実験装置で単一揚水管を用いた場合の最大揚程は2236[mm],最大流量は10[ml/min]であった。 平成25年度では、前年度研究の問題点を系統的に整理・改良した。水を煮沸脱気することで、揚水効果が高まることを新たに見出した。ポンプの原型となる直径85mm, 厚さ25mmの密閉型実験装置を試作した。小型化のため、最適化した円盤型圧電振動子を使用した。最大揚程は1450mm,最大流量は8.47ml/minであった。さらなる小型化を目指して、100kHz~200kHzの振動子による実験もしたが、逆にキャビテーション雲の強度が弱くなり、揚水用に向かないことがわかった。流量とポンプ効率を高めるために、集合揚水管を用いる構成を検証した。揚水管本数が増えるにつれ、流量とポンプ効率も増加するが、6本程度で頭打ちの傾向が見られた。本研究の成果を国際会議で報告した。
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