研究課題/領域番号 |
24656156
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
高田 一 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (20154792)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 機械力学・制御 / 流体 |
研究概要 |
高齢者の増加に伴い、介護施設において介護スタッフが不足しており、高齢入居者に対する介護スタッフの数が不足すると、介護スタッフの負担が増加する。介護スタッフの作業の中でも入浴と排泄は特に負担が大きく、それを軽減するだけでかなりの負担軽減となる。そこで、寝たきりの人でも入浴と同等の爽快感を味わうことを目指し、ベッド上で身体洗浄を行うことができるシャワーの開発を行った。ぬるま湯あるいは水がシャワーヘッドから出るが、皮膚の洗浄後水をすぐに吸引するため、ベッド上で使用できる。これは、利用者自身が使用でき、また、介護スタッフも使用できる。 試作機の製作するにあたり、介護施設での聞きとり調査を行った。その結果、身体洗浄については、高齢者は皮膚が非常に弱いため、あまり強く水などを当てられない、またシャワーヘッドで皮膚を強く擦ることも避けた方がよいなどの意見をいただいた。在宅介護では、作業をそれほど急いで行う必要もないので、需要があるのではという意見であった。これらを踏まえ、開発を進めることにした。 まず、シャワーヘッドの試作機として、水の出る向き、孔の向き、孔径などを変えて製作し、圧力測定、流量測定を行った。被験者として、健康な若者で行ったところ、水の量、水の当たり方など満足する流量範囲、圧力範囲を測定することができた。クレヨンを塗った板を洗浄し、汚れの落ち具合を測定し、ある割合のクレヨンが落ちるまでの時間を測定し、流速、負圧などとの関連を見出した。また、解析ではパラメータとして、空気孔の形状、位置、個数を変えたヘッドについて空気の流れを計算し、次年度の開発に向けたデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の概要で述べたように、介護スタッフの負担軽減に役立つ、ベッド上で使用できるシャワーヘッドの開発を目指し、試作器を製作し、圧力、流量などを測定した結果、基礎的なデータを取得することができた。これは、次年度での改良された新規のシャワーヘッドを製作することができ、実用化に向けての開発が可能であると予測できるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、液体の漏れが少ないと思われる改良機を製作し、実用化に近い機器を2~3種類ほど製作する。同時に洗浄効果の確認、漏れ量、飛散量の確認を行う。ベッド上で使用するには水漏れが大敵である。したがって、実用化の際には、肌に接触しているときだけ、ぬるま湯が噴出し、肌から離れたときには、OFFとなるような制御装置を考える。高齢者施設における実験を行うため、実際に高齢者の施設で改良機を用いて高齢者を被験者として、肌への感触、洗浄効果などを確認するための官能評価実験を行う。高齢者は、皮膚が弱い人も少なくないので、その点についても確認する。内容は、シャワーとしての使用感、排泄後の洗浄としての使用感などを中心に、介護スタッフ、高齢者から意見をもらい、さらなる実用機を製作するためのパラメータのデータとする。実用化に向けての仕様(容量、重量、安全性など)についても意見をいただく。実用機の製作としては、実用化に向けて、高齢者の施設でいただいた意見などをもとに実用化できる機器を製作する。これには、全体機器やバッテリーの軽量化、給水能力、洗浄後の排水容量、肌への柔軟度(接触部のスポンジなどでの製作など)、など具体的な仕様を決め、実用化に結び付ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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