本研究では,レーザーブレイクダウン (Laser-induced breakdown: LIB) により理想的な点音源を任意の位置に生成することで,微小空間に対して100 kHz程度の高周波数帯域の音響加振を実現する.音響加振は,スピーカにより加振する方法が一般的であるが,スピーカが音場の特性に影響を及すことや,スピーカの形状や大きさにより空間に配置できないことがあるため,MEMSなどのマイクロメートルオーダーの微小空間内を対象とした音響加振には適さない.レーザービームのスポット径を凸レンズにより数十マイクロメートル程度に集光しLIBを発生させれば,生成される音源は点音源となることが予想される.この理想的な点音源を微小空間内における任意の位置に配置することができれば,音響加振の適用範囲拡大が期待できる. 平成25年度は,シュリーレン法による衝撃波伝播の可視化を実施した.LIBプラズマによる衝撃波の伝播をシュリーレン法により可視化し,これを高速度カメラで画像計測することで,数ミリメートルオーダーの微小空間を対象とした音響加振源として有効であることを示し,高時空間分解能を有する音響試験法の実現可能性を検討した.また,LIBプラズマ形成の最適化を実施した.LIBプラズマによる衝撃波の伝播を可視化することで,対象とする微小な空間,構造に対して適切なLIBプラズマの形成位置を調べた.さらに,LIBプラズマによる衝撃波を用いた空気中の膜構造物の音響加振実験を試みた.
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