研究課題/領域番号 |
24656159
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
辻内 伸好 同志社大学, 理工学部, 教授 (60257798)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | リハビリテーション / アシスト装具 / 空気圧アクチュエータ / リウマチ / ハンドセラピー |
研究概要 |
1.メンブレン型空気アクチュエータの制御アルゴリズムの開発 本テーマでは,関節リウマチ手指変形に対する動的リハビリテーションアシスト装具に用いられるメンブレン型空気圧アクチュエータに供給される空気圧と発生力との関係は,線形であることと,電空レギュレータと空気圧アクチュエータの特性が同様の傾向を示すことにより,空気圧アクチュエータの動特性は電空レギュレータの性能に依存することを実験により明らかにした.また,本アクチュエータを用いて試作した動的リハビリテーションアシスト装具による整復は,ハンドセラピーによる整復と同等の効果を示すことがわかった. 2.脱臼した関節の整復に必要な力の検証 本テーマでは,リウマチによる母指MP関節掌側亜脱臼整復におけるハンドセラピー時の整復力の解析・計測およびメンブレン型空気圧アクチュエータの出力と整復力の比較実験を実施した.また,本研究費によって購入たウェアラブル接触力センサを用いて,推定接触力の検証実験を実施した.その結果,示指・中指で基節骨・中手骨を支え母指で圧迫することによって,MP関節に整復方向のモーメントを発生できること,直径19mmのメンブレン型空気圧アクチュエータによって,母指MP関節掌側亜脱臼を整復するための力が十分得られることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費の計画書において平成24年度に実施する項目,1.メンブレン型空気アクチュエータの制御アルゴリズムの開発,および2.脱臼した関節の整復に必要な力の検証,の各項目に対して,実施予定の内容を計画通り実施した.また,その結果を国際会議議事録(査読付き)2件,国内講演会における講演2件で公表できたため,おおむね順調に推移していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度はハンドセラピストが整復動作を行う際の整復力の計測が可能かどうかを研究者が模擬し,計測が可能であることを明らかにした.本年度は,実際のリハビリテーション現場で,ハンドセラピストと患者の指の動きを,複数のカメラを用いた3次元モーションアナリシスシステムを用いてその力の作用方向を,セラピストの指と患者の指の接触部分に発生している力の大きさを接触力センサを用いて計測する. これらの解析によって得られたデータを基に,リハビリ動作を模擬するための患者に対するメンブレン型空気圧アクチュエータの最適配置およびアクチュエータの発生力を制御するための制御系の構築を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の目的を達成するため,実際の制御に用いる信号処理および制御用DSPシステムを設備備品費により購入する.また,昨年度試作した「動的リハビリテーションアシスト装具」に使用したメンブレン型空気圧アクチュエータの改良,アクチュエータ配置位置の変更による改良をその他経費で行う. 関節リウマチに合併する尺側偏位用の動的なリハビリ装具は関心が高いながら実用化されていないものであるため,本研究の研究成果は,関連学会で積極的に公表することが重要である.工学のみならず整形学会など医療分野でも積極的に発信する必要があるため,研究成果投稿料および旅費が必要となる.
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