研究課題/領域番号 |
24656162
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 潔 東京大学, IRT研究機構, 教授 (10282675)
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キーワード | 人間機械システム / 触覚センサ |
研究概要 |
非線形材料として、粘性液体であるシリコーンオイル中にピエゾ抵抗ヒンジ部を持つカンチレバー構造を封止し、それをパリレンで封止してPDMSに埋め込む形式の3軸力センサの研究を行った。4つの検出部を田形に配置することで、圧力と2方向の剪断力を検出できる。気液界面にカンチレバーが配置されているので機械的共振の影響を受けず、1MHz以上の広帯域での力の検出ができた。 非線構造として液体を封入したコンデンサ構造を用いたフレキシブル三軸力センサの研究開発を行った。対抗配置した電極によりコンデンサを形成し、その間に誘電材料としてイオン性液体を封入する。静電容量変化により圧力を検出する。やはり4つの検出部を田形に配置することで、圧力と2方向の剪断力を検出できた。 金コーティングされたマイクロピラミッドのアレイを用い、抵抗体に押圧する方式の高感度の圧力センサの研究を行った。ピラミッドへの圧力の増加によって接触面積が増加し、非線形な応答を示す。圧力を0~5kPaでかけたところ、感度が-0.6~-0.05st./kPaで変化することを確認した。 微小な信号を検出するための回路として、ピエゾ抵抗を用いたカンチレバー用に、同期検波を用いた検出回路を試作した。1kHzで変調をかけて信号検出を行い、10nV/sqrt(Hz)程度の雑音レベルでの検出が可能となった。また複数のカンチレバーの出力情報を同時に処理するため、マトリクス配線を用いた信号検出回路を試作した。通常19本の配線が必要な18個のカンチレバーに対して、7本の配線での検出が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形材料・構造としてこれまでに、柔軟弾性体としてPDMSを用いたピラミッド構造や液体とカンチレバーを組み合わせた検出構造などを検討してきた。高感度・広帯域についてはその効果を確認できている。今後は、さらなる非線形性の拡大について、検討を進めてゆく。
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今後の研究の推進方策 |
本年度では、前年度に引き続き、本提案が目指す力を計測する上で必要となる非線形材料・構造の選定を行う。これらの材料・構造を用いた触覚センサ構造を試作し、外力に対する応答を計測し、評価する。また、センサ応答を処理する電子回路について、複数素子の出力のシリアル化および小型化、さらなる高感度検出のための低雑音増幅回路の設計、適用等を行う。さらに最終年度として、本研究のとりまとめを行う。
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