研究課題/領域番号 |
24656168
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福田 敏男 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70156785)
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研究分担者 |
中島 正博 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80377837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノロボット / ケミカル・ロコモーション / 集束イオンビーム加工 / フォトリソグラフィ / 触媒反応 |
研究概要 |
触媒反応を利用したケミカル・ロコモーションは,マイクロ・ナノスケールの表面力が支配的となるという特異的な現象に基づいた興味深い移動形態である.この現象を利用して自律型マイクロ・ナノロボットを構築するためには,(1)高精度かつ大量生産性を有した作製プロセスの確立,(2)推進特性の定量的な評価と理論構築,(3)ロボットの形状依存性の解明と最適設計,が重要な課題である. 本年度は,金と白金部の両方を有するマイクロ・ナノ構造体を作製し,過酸化水素水溶液中での駆動を確認した.新たに,非対称性を利用したマイクロ・ナノ構造体を設計することにより,単一の白金構造体のみで駆動する手法について検討した.実際に,提案した駆動条件を満たすマイクロ・ナノ構造体を作製し,実験的に駆動性能を検証した.また,上記の実験を実現するために,マイクロマニピュレーションを用いて,作製したマイクロ・ナノ構造体を溶液中にリリースし,駆動実験を行うシステムを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたマイクロ・ナノロボットの駆動性能の基礎特性評価を実施した.集束イオンビーム加工により試作した白金部を有するマイクロ・ナノ構造体を作製し,金のワイヤの一部を金でスパッタリングにより製膜して,過酸化水素水溶液中での駆動を確認した.また,単一の白金構造体を集束イオンビーム加工により,非対称な形状を有するマイクロ・ナノ構造体を提案した.実際に構造体を,マイクロマニピュレータにより,過酸化水素水の溶液中で構造物をリリースし,作製したマイクロ・ナノ構造体を駆動する様子から,駆動性能を実験的に評価した.実験条件として,溶液濃度や温度などによって,構造体の駆動軌跡や速度などの駆動性能を評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,前年の結果に引き続き,溶液濃度や流速などの影響の評価結果に基づいたモデリングについて取り組む.このために,例えば,マイクロチップ技術による定量的な流速制御・溶液置換技術を応用する.また,マイクロ・ナノロボットの駆動力を定量的に評価するために,例えば,マイクロマニピュレーション技術により,選択的にマイクロ・ナノ構造体を操作・固定・計測し,シリコンカンチレバーを用いることで,駆動力を計測する手法について検討する. また,フォトリソグラフィープロセスにより,構造体の効率的な作製を実現し,さらに複雑な形状を有したマイクロ・ナノ構造体を作製し,その駆動性能について評価する.例えば,溶液濃度条件や非対称性な形状による,駆動性能の向上,駆動方向制御性について検討する.これにより,直進駆動の直進性の向上,左右の駆動方向の制御などへの有効性について明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
主に下記の項目への支出を予定している. ・マイクロ・ナノ構造体用の材料費など ・マイクロマニピュレータ,マイクロチップなどの作製に関わる材料・機械電子部品など ・局所温度制御用装置などの触媒反応の制御用装置など ・過酸化水素水などの駆動源に必要な材料費など
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