研究課題/領域番号 |
24656179
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
田村 淳二 北見工業大学, 工学部, 教授 (40171897)
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研究分担者 |
矢神 雅規 北海道工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30364243)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 風力発電 / 太陽光発電 / 電力系統 / 過渡安定度 / 慣性エネルギー |
研究概要 |
今年度の研究で得られた成果を以下に記す。 (1) 太陽光発電システムの回路構成、モデリングに関する調査を行い、電力系統の動特性を解析するために適当なモデル表現を構築した。これは、直流電源、インバータモデル、フィルター、並びにそれらの制御系から構成される。 (2) 周波数制御LFCに関して、LFC発電機の定格、台数、配置等のデータ、並びに系統のLFCシステムの数学的モデリング等に関して調査を行った。また、2次励磁形誘導発電機をベースとする可変速風力発電機に関して、定格・定数・制御系構成等に関して調査を行った。 (3) 太陽光発電装置と同期発電機1台が無限大母線に接続されている簡易系統解析モデルを構築し、系統側地絡故障に対する太陽光発電装置と同期発電機の安定度に関する解析を行った。この際、太陽光発電装置の容量とLVRT性能の有無をパラメータとして検討を行い、LVRT無の大容量太陽光発電装置の場合に過渡安定度が良くなるとの結論が得られた。 (4) 太陽光発電装置と複数の同期発電機が無限大母線に接続されている多機系統解析モデルを構築し、系統側地絡故障に対する太陽光発電装置と同期発電機の安定度に関する解析を行った。この結果、上記(3)と同様にLVRTの無い場合の方が同期発電機の過渡安定度が良くなるとの結論が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
太陽光発電装置の系統安定度への影響に関する解析に関しては、2種類の系統モデルを基礎として検討を行い、同様な結論が得られており、順調に進んでいると判断する。風力発電機に関しては、モデリング等に関しては問題はないが、発電機モデルを実際に系統モデルに組み込んでの解析がまだであるので、25年度に鋭意進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度において以下に示す内容の検討を進める。 (1)初めに、太陽光発電装置、風力発電機、同期発電機から成る系統解析モデルを構築する。同期発電機にはLFCとガバナーフリーの2種類の発電機を用意する。 (2)系統周波数制御に連携した各ウィンドファームごとの出力目標値の設定法に関して検討する。基本的には、同期発電機のガバナーフリー運転と同様な短周期周波数変動を抑制する制御に加え、風力発電機の可能可変速運転範囲で定まる限界内でより長周期の変動に対するLFC運転も検討する。具体的には、系統周波数変動に応じてLFC制御と同様に補償信号を決定する際に、周波数帯域フィルターを用いて、ウィンドファームごとのMPPT運転により定まる出力値並びに保有慣性エネルギー状態を考慮の上、適切かつ可能な範囲で長周期成分にも対応した補償出力を決定する方法を検討する。 (3)上記で決定されたウィンドファーム出力目標値に対して、それをウィンドファーム内各発電機へ最適に配分する方法を検討する。一つのウィンドファーム全体出力目標値に対して各風力発電機ごとの出力解は単一には決まらないが、本来のMPPT運転を基礎として、最も系統全体としての逸失エネルギーが小さく、かつ過渡安定度制御に備えて保有慣性エネルギーが最大になる解を求める方法を検討する。 (4)上記の制御法を構築済みの解析モデルに組み込み、各風力発電機に変動風速を与えて計算を遂行し、周波数制御に対する導出方法の有効性を検証する。続いて、系統故障発生時に先の慣性運動エネルギー放出制御へのスムーズな移行、並びに復帰の制御法を検討し、最終的に提案システムの総合的な有効性を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に予定していた国際会議での論文発表ができなかったため、その分の旅費相当額が繰越しとなっている。次年度においては研究成果を積極的に国際会議等で発表する予定であり、今年度の残額分も含めてこのための旅費に使用する。その他、計算機解析のための各種消耗品、計算機解析・データ整理を大学院生にお願いするための謝金等に支出する予定である。
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