今年度の研究で得られた成果を以下に記す。 (1)通常の同期発電機2台と無限大母線を含むIEEE3機9母線モデル系統をベースに、1台の同期発電機を太陽光発電装置に置き換えた系統解析モデルを構築し、系統側地絡故障に対する太陽光発電装置と同期発電機の過渡安定度に関する解析を行った。この際、太陽光発電装置の容量とLVRT性能の有無をパラメータとして検討を行い、LVRT無の大容量太陽光発電装置の場合に過渡安定度が良くなるとの結論が得られた。 (2)続いて、上記(1)でのモデル系統において無限大母線を通常の同期発電機で置き換え、更に1台の同期発電機を太陽光発電装置に置き換えた系統解析モデルを構築し、系統側地絡故障に対する太陽光発電装置と同期発電機の安定度に関する解析を行った。この際、太陽光発電装置の容量とLVRT性能の有無をパラメータとして検討を行い、LVRT無の大容量太陽光発電装置の場合に過渡安定度が悪化し、同期発電機が減速脱調することを確認した。 (3)風力発電を含む系統の周波数変動特性に着目し、IECの風速乱れ強度を用いて周波数変動の期待値を統計的に推定する方法を導出し、その有効性に関する検討を行った。 (4)風力発電機の慣性エネルギーを利用して、系統側の同期発電機では制御できない周波数変動帯域の出力を抑制する手法を検討し、その有効性を確認した。
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