本研究では、従来の電磁モータで一般的に利用されている伝導電流や磁化電流とは異なる、分極電流によるローレンツ力を利用した新しい原理のモータを試作し、検証することを目的としている。 前年度までの実験では、ほぼ理論値通りであるものの発生力が極めて小さかったため、最終年度の2014年度は発生推力の向上について検討を行った。具体的には、試作モータのコアに使用したMn-Zn系フェライトは、500KHz程度までは安定して高い透磁率(比透磁率μr=2300)を有し、低損失という特性を持つが、それ以上の周波数領域では周波数が上がるにつれて透磁率が減少し10MHz以上ではμr=1に近い値となっていた。そこで、高周波領域でも透磁率を高く保つことができるフェライトをコアに利用することで磁束密度を増加させ、推力を向上させることができると考え、初期透磁率はμr=75と低いものの、数十MHz程まで安定した透磁率を保てるNi-Zn系フェライトにコアを変更したモータの製作を行った。併せて、巻線間の浮遊容量の影響を低減するため、巻線をエナメル被覆のリッツ線からフッ素樹脂電線に変更した。製作したモータの等価回路モデルを導出し、モデルのインピーダンス周波数特性が実測値によく一致することを示した。
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