研究課題/領域番号 |
24656191
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
猪原 哲 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90260728)
|
研究分担者 |
寺東 宏明 佐賀大学, 総合分析実験センター, 准教授 (00243543)
山根 久代 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80335306)
|
キーワード | パルスパワー / 休眠打破 / 温帯果樹 / モモ |
研究概要 |
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書において,地球規模での気温の上昇が報告されている。このような気温の上昇は農作物の生育に影響を与えている。特に果樹はその影響を最も強く受ける作物の1つである。特に休眠と覚醒は気温とその期間によって決まるため,開花や結実に直接影響を与える。休眠とは,植物が冬の過酷な環境条件に安全に耐えていくための環境適応現象である。休眠期間中は,たとえ萌芽に適した条件が整っても萌芽しないか,萌芽するまでに長い日数を必要とする。このような休眠を「自発休眠」という。自発休眠を完了するためにはある一定の期間低温に遭遇する必要がある。これを低温要求という。温帯果樹が休眠から覚醒するためには,気象条件がこの低温要求量を満たす必要がある。休眠は,永年性作物のライフサイクルの中でも重要な生理現象の一つである。気候変動によって気温の上昇が起きると,休眠の覚醒が正常に行われず,最終的には開花や結実に影響がでる。 本研究では,気候変動に対応して人為的な休眠打破を含めて,温帯果樹の生育制御技術として,パルスパワー技術を適用することを検討した。温帯果樹として桃を選択し,パルスパワーが休眠打破や生育に与える効果を実験的に調べた。その結果,休眠が深くなっていくと時期(7月→9月)では,パルスパワー印加とコントロールとの間で発芽率の差は大きくなっていき,逆に休眠から覚醒していく時期では(11月→翌年1月),パルスパワー印加とコントロールとの間の差は小さくなっていくことが分かった。このような結果になった原因については検討が必要であるが,一因として,パルスパワー印加によって,遺伝子レベルで発芽に適さない条件下にあると判断されたために発芽が抑制された可能性が考えられる。ここで示した結果は,パルスパワー印加による発芽の抑制を示唆するものであった.
|