東日本大震災により電力が逼迫し計画停電が実施された。そのため節電に関する意識は高まってきているが,今後もエネルギーリスク(環境負荷,経営管理,安全保障等)の低減をめざし,さらに省電力を推進していく必要がある。 本研究では取り組みやすく効果的な,照明による節電に着目した。今後急速な普及が見込まれるLED照明を利用して照明光そのもので通信を行い,各照明が環境に応じて自立調光し,かつ,室内の全照明が協調して省電力動作させることができる照明システムを提案・開発する。照明光で可視光通信するため,電源接続以外の工事は不用で電波も使用しない。 平成26年度は実際の教室に蛍光灯と同等の明るさのLED照明を12台製作し,実際の教室に設置し,運用実験を行うことを目標とした。前年度,節電率90%(点灯率10%)に限り可視光通信がうまくいかず設計し直した受信回路についてさらにチューニングを行い,通信線用に横方向に向けたLED無しでも3m程度の通信に成功した。さらに汎用性を高めるため,Windows Phone7用の個別調光アプリをAndroidに移植し,クラウドもMicrosoft AzureからGoogle Driveに変更を行った。Androidスマートフォンで照明を個別調光するためのモジュールについてもスマートフォンがUSBホストになることができるようになったため,USB接続に変更した。現在までに12台の製作は間に合わなかったが,6台製作し動作実験を行っているところである。
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