研究課題
本研究課題では、局所領域でのスピンの高周波磁界応答を評価できる新規「高周波ナノスピン計測技術」の構築を目指し、昨年度は、疑似モデルによる原理予測・検証を行い、伝送線路にわずかに周波数の異なる2つの正弦波信号を入力し、場のうなりを発生させてMFM用探針でその磁界を検出できることに確認した。その結果に基づいて、本年度は、まず参照信号を入力するMFM探針直上に設置するコイルの設計・試作および高周波特性を検討し、MFM用探針先端近傍で8.0 A/m 程度の高周波磁界を発生する半円形状励磁コイル(直径100um)の試作に成功した。次に、搬送波信号を、コプレーナウェーブガイド(CPW)側へ、搬送信号とわずかに周波数の異なる参照信号をMFM探針直上に設置する先に述べた励磁コイル側へ入力し、場のうなりによる高周波近傍磁界をCPW上で発生させた。このとき,MFM用探針を基板表面からCPWのギャップ中央で高さ1um固定し,共振時における探針の振動振幅値を計測した。探針の共振周波数27.7kHz近傍で振動振幅値が最大となった。この結果は2つの高周波信号によって場のうなりが作り出す高周波近傍磁界をMFM用探針で検出できることを示している。また、CPWへ入力する搬送波信号の電流値の増加にともない、MFM用探針の振動振幅値が線形的に増加する。この結果は、CPW上で発生する場のうなりにより形成される高周波磁界信号の包絡線に追従していることによると考えられる。これらの結果は、搬送波信号と参照信号の二つの高周波信号をCPWと励磁用コイルにそれぞれ入力し、線路上で発生するBeating fieldによるGHz帯近傍磁界を、MFM用探針による検出が可能であることを表わしている。以上の結果から、新規ナノスピン計測技術として場のうなり(Beating Field)方式による高周波磁気力顕微鏡能の構築に成功した。
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Journal of Applied Physics
巻: Vol.115 ページ: 17D120-1-3
10.1063/1.4862396
IEICE Proceedings of EMC'14/Tokyo
巻: 1 ページ: 印刷中