研究課題
まず、有機電界効果トランジスタ(OFET)の単一素子における電気特性から、ゲート電圧に依存するコンタクト抵抗や電界効果移動度を分離抽出する方法を新規に提案した。OFETにおける接触抵抗やキャリアトラップを考慮した、より正確な動作モデルの構築を行い、素子ばらつきによる評価誤差を回避できる形にした。開発した新手法を用いてOFET素子の評価を行い、スタッガ―ド型の素子構造を有するデバイスに対しては、本手法の適用が原理的に可能であることを示した。更に、ショットキー障壁が存在する現実のOFET素子を想定し、キャリア注入モデルとして熱励起した電子のトンネル注入機構(熱電子電界放出)を取り入れたデバイスシミュレーションを新たに実施した。その結果、OFETでよく見られる電流-電圧曲線における非線形特性を再現でき、短チャネル化やドーピングによるデバイス特性変化の予測やキャリア注入障壁の評価にも有用である事を示した。また、ケルビンプローブ原子間力顕微鏡による局所表面電位観察を行い、OFETの電極/有機半導体界面に局所電荷ドープ層を設けることでトランジスタ動作中のコンタクト電極近傍の電位降下が著しく減少し、デバイスシミュレーション結果と定性的に一致する結果を得た。以上より、本研究全体の成果として、電荷ドーピングが高性能なOFETデバイスの設計と作製において極めて有効な手段であることを理論及び実験の両面から実証した。また、ショットキー障壁を考慮したデバイスシミュレーションや新規デバイスパラメータ抽出法を考案し、それらの有用性を示すことで、将来のスケーリング則の確立に向けた重要な成果が得られた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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