本申請課題は平成24年度に①分岐鎖アミノ酸(BCAA)を選択的に認識する脂質高分子膜組成の決定,②BCAAの官能検査を実施し,平成25年度に③苦味抑制効果の検出を実施する事を予定していた.平成24年度において,上記実施項目①,②が当初の予定より順調に進んだため,実施項目③を繰り上げて実施した.これにより平成25年度は,より研究を発展させるために,BCAAを有するジペプチドを対象とし,苦味センサを用いたジペプチドの測定,官能検査,苦味抑制効果の検出を実施した.対象として用いたジペプチドは,BCAAを含む機能性ペプチドのL-alanyl phenylalanine (Ala-Phe)及びL-isoleusyl-phenylalanin (Ile-Phe)とした.また,これらのジペプチドはBCAA単体と比較して,疎水性度が高い事から,苦味センサに対して高い応答が得られることを期待して測定対象とした.その結果,苦味センサは,ジペプチドに対して高い濃度依存性及びBCAAと比較して高い応答を示した.また,L-Lysを添加する事で,ジペプチドのセンサ応答値が減少した.この結果を基に官能検査を行った結果,ジペプチドがL-Lysを添加することで苦味抑制効果が得られることが明らかとなった.従って,BCAAのみならず,BCAAを含む機能性ジペプチドに対しても,苦味センサを用いることで苦味の数値化及び苦味抑制を検出出来る可能性が示された.
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