研究課題/領域番号 |
24656212
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中野 正基 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20274623)
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研究分担者 |
福永 博俊 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10136533)
柳井 武志 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30404239)
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キーワード | Fe-Ni合金 / 規則化 / 永久磁石 / レアアースフリー / 圧延率 |
研究概要 |
本研究は,材料が潤沢で安価なFe,Niを用いた永久磁石材料の開発を念頭におき,積層圧延を用いたFe原子層とNi原子層の多周期積層構造の形成による「レアアース」・「レアメタル」を利用しない新規なバルク永久磁石の開発を目的とする。具体的には,Fe原子層とNi原子層を圧延により人工的に交互に積層させ規則化した組織を構築する事により,「高い結晶磁気異方性」を起源とした永久磁石材料の開発を目指すものである。平成24年度の本申請研究において,「圧延」と「誘導加熱」を組み合わせて利用し,その条件を探索する事により,FeとNiの各層が数~数10 μmの厚みで接合できる事を確認した。そこで,平成25年度は,当初の研究目的である以下の2つの内容に取り組んだ。 (1)積層したFe板/Ni板に冷間圧延を施し,各層10 nm以下の多周期積層構造を構築する。 (2)300 ℃以下の熱間圧延で(1)の実験を行うと共に,添加元素( Ga,Cu)の効果も検討する。磁気異方性・磁気特性の評価と微細構造観察を通じ,磁石材料としての可能性を示す。 (1)の内容に取り組むためにはFeならびにNi一層あたりの厚みを低減させる必要がある。そこで,「圧延と熱処理の組み合わせ行程」を用い,「圧延による金属硬化」を熱処理により緩和し,単層の膜厚低減と格子間隔を鑑みた90 %を超える強圧延(強加工)を試みた。しかしながら,圧延時の「試料の破壊」ならびに「積層構造の乖離」などが生じ,その最適条件を見出すことが困難な状態で,平成25年度の研究期間が終了した。今後,上述したCu等の元素の添加について試み,圧延加工条件を探求していくと共に,その先に必要とされる「規則度」・「集合度」の制御等も鑑み,低温長時間での熱処理についても将来的に検討する必要があるものと考えられる。
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