研究課題
最終年度である本研究では、昨年の成果(Y磁性字型磁性細線を作成し、入力部に記録磁区を形成し、これを低電流で駆動することでAND演算機能の原理検証、OR演算原理検証、NOT演算回路試作)を元に、NOT回路の動作原理実証を行い、さらに計画には記載していなかった更に一歩先のFUNOUT機能についても試作を行い原理実証を行った。具体的内容を以下に示す。①ANDまたはOR磁性細線回路の出力部に電子線描画法にてウィンドウを形成し、超高真空マグネトロンスパッタにて逆スパッタを行い、磁性細線表面のPt層2nmを除去し、ここにわずか2原子層のRh層を成膜、更にその上にTbFeCo層を設け、さらにフォトリソ工程で電極を形成し、NOT回路を試作した。この入力部に磁壁を導入し、電流印加により導入磁壁を出力部に移動した。この時、磁区がRhを介して新たに作成したTbFeCo層に反強磁性的に磁気転写した。すなわち、入力1の信号が反転信号0で出力できた。これはNOT機能の原理実験データを意味しており、先に実証したAND回路出力部にこのNOT回路を形成することでNAND回路となる。また、これをOR回路に適応すればNOR回路となる。②逆Y字型磁性細線を作成し、入力磁区がT字型分岐路で等分配され次段の2入力信号となるFUNOUT動作の原理実証にも成功した。③これら実証実験に於ける電流密度は1x10^7A/cm^2と小さいまま演算できることを示した。これらの結果は、メモリと同じ動作メカニズムであるため、メモリ&ロジックの動作原理を実証できたことも意味している。ただし、磁壁移動速度を現有MFM探針への工夫で測定予定であったが、現有MFMが古いためにメーカー対応外となり原因不明のノイズ除去ができずこの新しい方法の検証は未達となった。今後はTMRヘッドで高速応答を検証する予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
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