研究課題/領域番号 |
24656224
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八井 崇 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80505248)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ドレストフォトン / ナノロッド / 太陽電池 |
研究概要 |
無限に供給される太陽光を有効活用することが重要となっている。半導体における電子の取り出し効率を向上させるために、表面をナノ構造化し、フォノン援用過程を利用することで、従来透過してしまう光を有効利用する手法について検討した。 色素増感太陽電池の高効率化のために、本年度は、溶液表面での電気化学反応の高効率化を行った。電気化学反応を効率化するための手法として近接場光効果を適用することを提案する.溶媒配向に伴う活性化エネルギーを,白金電極への光照射で生じる近接場効果によって振動準位を活用することで乗り越えることで,電気化学過程においても反応活性化が期待できる。 実験では白金黒電極を利用し,フェリシアンシアン水溶液中でのイオン-電極間電子移動過程において電極への光照射を行った.入射光波長は試料溶液の吸収端よりも長いものとして532nmのものを選択した.測定の結果,電流増加率が入射光強度に対して2次の依存性を示した.外場としての光照射に対して高次の摂動応答が見られたことは近接場光効果に特有の現象であると考えられる.さらに白金黒めっきを作製する際にも,光照射をしながら堆積した場合には,自己相似性が全体的に生じるなどの微細構造の違いが見られた。 色素増感太陽電池には、酸化亜鉛ナノロッドと有機色素を検討している。平成24年度に導入したMPCVD装置を用いてZnOナノロッドの作製を行った.その結果、大面積に渡り、均一な直径のZnOナノロッドの合成に成功した。さらに、成長温度を制御することで、ナノロッドの直径を制御することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ドレストフォトンフォノンを取り入れた全く電気化学反応の活性化に成功したため。 従来の電気化学反応は、溶媒配向に伴う活性化エネルギーを溶液の温度によって制御していた。このため、活性化には温度上昇させる必要があった。今回、温度上昇によらない、コヒーレントフォノンを用いたドレストフォトンフォノンによって、大幅な電気化学反応の活性化に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
ドレストフォトンフォノン効果の理論的考察を深め、電気化学反応の活性化の限界について検討を行う。 作製したZnOナノロッドに対して、有機太陽電池を作製し、発電効率の最適化を行う.この際、最大の発電効率が得られる構造を実現するため、吸収特性の異なる色素を組み合わせ、ナノスケール材料に特有な、エネルギー変換機能の最適化手法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
色素増感太陽電池を作製するための消耗品(有機色素、亜鉛原料、基板、溶液、光学部品など)の購入にあてる
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