研究課題
本研究では電圧による磁化反転制御を目指し,以下の2つの検討を行った.一つは磁性ガーネットに電界を印加することによる磁壁移動であり,絶縁性磁性体中の磁壁に発生する電気分極を利用したものである.もう一つは,Co超薄膜に電界を印加することによるキュリー温度の変化である.キュリー温度の変化は磁壁エネルギーの変化につながり,電界により磁壁を移動できる可能性がある.どちらの方法も電界により磁壁を移動させるものであるが,磁壁の移動は局部的な磁化反転を伴うため,電界による磁化反転につながる.磁性ガーネットの電界磁壁移動を検討する材料として,LPE(Liquid Phase Epitaxy)法により,GGG(100)基板上に成長した(BiLu)3Fe5O12およびGGG(111)基板上の(BiY)3(FeAl)5O12膜を用いた.この膜の上にフォトリソグラフィにより電極間距離25 umから200 umの電極を作成し,電極間に±300Vの電圧を印加した際の磁区構造を磁気光学顕微鏡により観測した.現時点では印加電圧が小さく,光学顕微鏡レベルで観測可能な磁壁移動は見られず,電極構造の詳細な検討が必要であることが分かった.次に,Co超薄膜の電界による磁気特性変化による磁壁移動を検討した.RFマグネトロンスパッタ法によりSi基板上にCo超薄膜を作製し,異常ホール効果を検出するための十字構造をフォトリソグラフィ及びArイオンエッチングにより作製した.微細加工したCo超薄膜上に絶縁層と電界を印加するPt電極層をフォトリソグラフィとリフトオフにより作製した.絶縁層の膜厚は50nm,電極層のPt膜厚は100nmである.異常ホール効果測定による微細加工素子の評価及び電界印加による磁化曲線の変化を観測した.
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IEEE Trans. Magn.
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http://www.nuee.nagoya-u.ac.jp/iwatalab/