研究課題/領域番号 |
24656230
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
須田 淳 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00293887)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 炭化硅素 / 紫外線 / 検出器 / リーク電流 / 高温デバイス |
研究概要 |
炭化硅素紫外光検出器(フォトダイオード、PD)の試作を行い、室温から500℃までの温度特性の測定を行った。PDの特性上重要な逆方向リーク電流について詳しく調べたところ、温度上昇と共に急速に増大し、300℃以上では、PDの検出感度に重大な影響を及ぼすほどの大きなリーク電流になることが判明した。そこで、メサ構造周囲のパッシベーションに、これまで使用していた単なる熱酸化プロセスではなく、熱酸化後の一酸化窒素による熱処理を行った。これにより、室温では1/1000以下、高温でも1/20以下にリーク電流が低減した。 作製した改良型PDの光感度特性の温度依存性を測定し、目標としていた500℃までの動作に成功した。また、感度の温度依存性について調べたところ、室温から500℃まで感度の温度依存性を無依存にすることはできていないが、例えば、200~500℃ではほぼ無依存とすることができた。 また、感度の温度依存性を解析するために必要となる基礎データーとして、光吸収係数の温度依存性の測定を行った。厚さのことなるサンプルを作製し、吸光度の比と、厚さの比から、表面、裏面での反射などの影響を除いた結晶自体の光吸収係数を求めることに成功し、その温度依存性を励起子遷移を含めたモデル式で解析することに成功した。今後より吸収係数の大きい領域を、さらに薄層化したサンプルで測定することを検討しており、その試料作成方法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆方向リーク電流の起源が側面にあることを明らかにし、側面のパッシベーション方法を工夫することで、大幅なリーク電流低減を達成した。また、目標の500℃でのリーク電流はまだ改善の余地があるが、パッシベーション方法のさらなる検討をすることで期間内に500℃動作を達成できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
パッシベーション方法のさらなる検討、電極などの工夫をすることで期間内に500℃でのリーク電流低減、および長時間安定動作を達成する。パッシベーション方法を昨年度は一通りしかトライできていなかったので、条件を系統的に変化させて、最適なプロセスを確立する。 また、光吸収係数の大きな波長域での測定を行い、フォトダイオードの設計を行うための基礎データの確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度後半に実施予定であった測定系の改良、新しい系列のサンプル作製がずれこんでしまった。今年度の4~5月に遂行する。
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