研究課題/領域番号 |
24656235
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小川 真人 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40177142)
|
キーワード | 第一原理密度汎関数法 / 強束縛近似法 / 量子輸送 / 量子力学的シミュレーション / ナノデバイス |
研究概要 |
1)新材料の特性を反映した原子論的シミュレーションプログラムの開発 現在のプロトタイプシミュレータをシリコン系技術と化合物半導体との複合構造デバイスにも対応し得る汎用性を持たせるために,ダイヤモンド,閃亜鉛鉱構造,立方晶系,六方晶系を問わず任意の結晶系に対する強束縛(TB)近似ハミルトニアンを第一原理密度汎関数法によるバンド構造計算結果から遺伝的アルゴリズムによるパラメータ抽出を行う手法により生成するモデルを開発した.その結果現在のシリコン系材料に対する原子論的なTB-NEGF(非平衡グリーン関数)法を,より複雑な半導体材料の特性を反映を行ったデバイス輸送特性解析を可能とする手法として発展させる. 2)最良基底展開を用いたシミュレータ高速化 TB近似で原子軌道関数を用いた場合,有効質量近似に比べ大きなデバイスサイズ(> 65 nm)では計算時間の面で困難であるが,原子軌道の多項式線形結合(DVR:discrete variable representation)を基底とした展開法および再帰Green関数法の複合解法を開発し,シミュレータの高速化(現状の5倍の速度)を達成しつつある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,研究計画調書に掲げた達成目標のうち2/3まではほぼ達成しており,今後,微細デバイス構造中の散乱機構を考慮した非平衡量子輸送デバイスモデリングフォノン散乱,界面ラフネス散乱,不純物散乱,離散的不純物分布がもたらす効果を原子スケールでのNEGF 表式(TB-NEGF) に取り入れ,非平衡量子輸送デバイスシミュレータの構築を行う予定である.さらに,それを基にして,新構造・新材料ナノデバイスの性能予測と微細化の限界の予測を行う予定であるが,計画年度内に達成の目途が立っている.
|
今後の研究の推進方策 |
微細デバイス構造中の散乱機構を考慮した非平衡量子輸送デバイスモデリングフォノン散乱,界面ラフネス散乱,不純物散乱,離散的不純物分布がもたらす効果を原子スケールでのNEGF 表式(TB-NEGF) に取り入れ,非平衡量子輸送デバイスシミュレータの構築を行う予定である.さらに,それを基にして,新構造・新材料ナノデバイスの性能予測と微細化の限界の予測を行う予定であり,京コンピュータの可視化装置π-caveを利用してナノデバイス内部の電子の動きも可視化する予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
京コンピュータの一筐体と同等以上の性能を持つ神戸大学教育計算機センターのFX-10を使用することができたため,京コンピュータの使用に掛かる費用を抑えることができ,また,クライアントとして用意する研究室側のワークステーションも低価格のもので代替することができたため. 今年度の成果をもとに原子軌道の多項式線形結合を基底とした展開を用いて超並列化オーダN計算を京コンピュータ上で実行するルーチンを作成する予定である.
|