研究課題/領域番号 |
24656238
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
松尾 直人 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263790)
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研究分担者 |
部家 彰 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80418871)
山名 一成 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70192408)
神田 一浩 兵庫県立大学, 付置研究所, 教授 (20201452)
大村 泰久 関西大学, 工学部, 教授 (20298839)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シリコン / DNA / MOSFET / ゲート電圧変調 / 電荷保持 / グアニン / クーロンブロケード / クーロンステアケース |
研究実績の概要 |
LSIは,ムーアの法則が成立しない段階に到達しており,従来型CMOSトランジスタは作製が困難である.DNAは自己組織化によるボトムアップで作製可能な事から,微細化の進むエレクトロニクス応用に関して魅力的である.これまでにDNA の2端子,及び,3端子伝導(Au電極)に関して検討されており,特にトランジスタに関しては,CMOS,単電子トランジスタ特性等が報告されている.我々は世界で初めてλ-DNAをチャネル,ゲート,ソース,ドレインをSiで構成したSi-MOSFETを作製し,ゲートによる電流制御が可能である事,DNAが電荷保持特性を有する現象を見出した.この構造はSiO2/Si基板に作製された単結晶Siから成る矩形のソース・ドレイン電極間にPCR法により,λ-DNAチャネル(136or30nm)を形成した.基板をゲート電極としたSi-MOSFETにおいて,ドレイン電流をゲート電圧により制御できる事,及び,繰返し電圧印加の間にリフレッシュ過程を挿入する事によりメモリ効果を見出した.更に,リフレッシュ条件が電荷デトラップ特性に与える影響を調べると共に,塩基の酸化還元電位の値からグアニンが電荷捕獲の中心的役割を担うメカニズムについても検討した.又,Id-Vd特性がヒステリシスを示す事や光酸化による電流値増加も見出しており,DNAが新しいメモリー素子としても期待できる事を示した.最終年度においては,20-200Kにおいてゲート電圧印加で初めてクーロンブロケード,ステアケースを確認した.これはゲート印加によりDNA両端のAGE絶縁膜(1nm)のポテンシャルをバイアス変調させている事から1-3個の電子がDNAにトンネル注入された事に起因する事が明らかになった.更に,200℃の高温状態ではDNAの故障箇所の回復を生じる事を示唆する結果を得たが,これに関しては今後の検討が待たれる.
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