データ圧縮(情報源符号化)用の符号として最もよく知られているハフマン符号は,一意復号可能な全てのFV符号(Fixed-to-Variable length code)の中で最も圧縮率がよいと考えてられていた.しかし,その最適性の証明は,暗黙のうちに固定した1つの符号木を仮定していた.本研究では,2つ以上の符号木と不完全内部節点を用いる準瞬時FV符号(Almost Instaneous FV code)を新たに提案し,平成25-26年度の研究により,準瞬時FV符号がハフマン符号より一般によい性能を達成できることを明らかにした.
準瞬時FV符号では複数の符号木を用いるが,不完全内部節点にコストを与え,その与えられたコストに対する最適な符号木を整数計画法を用いて構成できることを平成25年度の研究で明らかにした.今年度(平成26年度)は,2つの符号木を用いる場合(2元および3元のAIFV符号の場合),与えられたコストに対して整数計画法で得られた2つの個別に最適な符号木からコストの値を計算し直し,さらにそのコストに対して最適な符号木を整数計画法で求めるという手順を繰り返すことにより,グローバルに最適な準瞬時FV符号を構成できることを,理論的に証明した.
これらの成果を,国内の研究会および国際シンポジウムで発表するとともに,その内容を論文としてまとめ,IEEE Transactions on Information Theoryに投稿した.
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