研究課題/領域番号 |
24656242
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大木 真 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (50211785)
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キーワード | 適応フィルタ / 雑音除去 / 感覚 / べき乗数 / 音声 / 画像 / 動画像 |
研究概要 |
平成25年度は,音声の雑音除去に関する主観評価実験,および画像・動画像の雑音除去アルゴリズムの改良を行った. 音声の雑音除去に関する主観評価実験としては,以前に行った主観評価実験と比較して被験者数および実験条件を大幅に拡張した実験を行った.被験者数は以前の10名に対し今回は58名,使用したべき乗数パラメータは前回の2種類(1.4と2.0)に対し今回は5種類(1.2.1.4,1.6,1.8,2.0)である.実験結果は全体としては前回の結果を裏付けるものであり,べき乗数が1.4付近で主観評価が良好となる結果を確認できた.なお,予定では,LMPアルゴリズムだけでなくRLpNアルゴリズムを用いた実験も行う予定であったが,時間の関係で平成26年度に行うこととした. 画像および動画像の雑音除去については,2次元化および3次元化したLMPアルゴリズムについて,可変べき乗数アルゴリズムの改良を行い良好な結果を得た.当初は主観評価実験も行う予定であったが,時間の関係で平成26年度に行うこととした. 画像については,局所分散の大きさをしきい値を用いて判別する,きわめて単純なアルゴリズムが良好な結果を示すことを確認した.単一のしきい値で多くの画像に対し良好な結果を得ることができ,しきい値の設定はクリティカルではないが,しきい値の自動設定アルゴリズムの開発は今後の課題である. 動画像については,動画像のフレームごとの性質の変化に対応するため,複数の局所分散の中央値の変化を用いてべき乗数を可変とするアルゴリズムを提案した.提案したアルゴリズムは多くの動画像について良好な結果を示したが,比較的小さな物体が高速で移動するような動画(滝の動画など)に対して性能が劣化することが分かっており,その改善は今後の課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
音声の雑音除去実験については,LMPアルゴリズムを用いた主観評価実験が終了し,平成26年度にRLpNアルゴリズムによる主観評価実験を行う予定であり,ほぼ予定通りと考える.平成26年度終了までに目的を達成できる予定である. 画像・動画像の雑音除去については,LPMアルゴリズムにおける可変べき乗数アルゴリズムの改良を優先して行ったため,RLpNアルゴリズムの検討と主観評価実験の実施が若干遅れている.しかし,平成26年度中にはほぼ目標を達成できるものと考えている. 研究成果の公表については遅れが生じているため,平成26年度中にできる限り成果の発表等を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
音声の雑音除去については,平成25年度に行ったLMPアルゴリズムによる主観評価実験結果の学会発表を行う.また引き続き,RLpNアルゴリズムを用いた主観評価実験を防音室を用いて行う.RLpNアルゴリズムについては,単一のRLpNアルゴリズムではあまり良好な音声が得られないことが分かっており,異なるパラメータを持つ複数のRLpNアルゴリズムを組み合わせる方法を検討する予定である. 画像・動画像については,平成25年度に開発した可変べき乗数を用いたLMPアルゴリズムを用いて雑音除去を行い,主観評価実験を実施する.また,RLpNアルゴリズムを用いた雑音除去アルゴリズムについても検討し,可能であれば主観評価実験も行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は,主観評価実験における実験協力者への謝金の支出方法を変更したこと,および旅費の支出が少なかったためである.謝金については,主観評価実験の実施時期が年度末となり科学研究費補助金からの支出が会計手続き上難しくなったため,急遽,研究担当者の学内予算からの支出に切り替えた.また,旅費の支出が少なかったのは,研究成果の公表が遅れているためである. 平成26年度は,音声,画像,動画像の3分野にわたって主観評価実験を行う予定である.平成25年度の経験から,主観評価実験については遅くとも平成26年12月までにすべて終了することとする.使用計画は以下の通りである. 1. 主観評価実験を行うため,(1)実験補助者雇上げ(3人×10日×5千円=15万円),(2)実験協力者への謝金(80人×1日×3千円=24万円) 2. 成果発表のため,(1)国内旅費(徳島市・3日・1回・2人,草津市・3日・1回・2人,20万円),(2)外国旅費(台湾・4日・1回・2人,25万円)
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