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2012 年度 実施状況報告書

シャノン限界を超える一般化物理暗号の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24656245
研究機関玉川大学

研究代表者

二見 史生  玉川大学, 量子情報科学研究所, 准教授 (20417695)

研究分担者 相馬 正宜  玉川大学, 工学部, 教授 (70384716)
広田 修  玉川大学, 量子情報科学研究所, 教授 (40114889)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードシャノン限界 / 一般化物理暗号
研究概要

本研究では,シャノン限界を超える物理暗号を実現する理論モデルである一般化盗聴通信モデルにほぼ等価な特性を持つことが期待される一般化コヒーレント・パルス位置変調法等の実現法を解明することに挑戦することを目的としている。目標達成に向け,平成24年度は,相馬によって開発された帯域増加を防ぐ一般化コヒーレント・パルス位置変調方式を光通信デバイスによって実現する方法の研究を行った。以下に概要をまとめる。
計画通り,その方式を光通信デバイスで実現する方法に関して研究開発を行い,光変調器を用いた方法を考案し,原理確認実験系を構築した。本方式では,分光した各周波数成分の光を変調器後,集光する。用いる部品は,新規開発することなく,本方式に適用可能である。本方式に方法を確立する過程で,実現する波長および部品の低損失性を重視した。光ファイバ通信では,光ファイバの伝送損失が最も小さくなる波長1.55μm帯の光が通信に用いられているため,本方式で実現する波長は1.55μm帯とし,本波長帯で動作する光変調器を選定した。特に,光通信に応用する場合,光信号対雑音比が通信特性を本質的に制限してしまうため,光パワーを高い値にたもつことが可能な低損失性を最重要視した。
量子雑音による信号のマスク効果を評価する方法に関しては,理論的側面から検討を行った。乱数に基づき変調するため,パルス位置がずれると共に波形が変化する。この点に着目し,マスク効果は,変調後の波形の信号対雑音比と光ピークパワー値の位置をもちいて評価する方法を確立した。
以上の成果は,次年度の研究開発を推進する為に重要であるばかりでなく,シャノン限界を超える一般化物理暗号の研究の進展に大きく寄与する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の目的は,当初,次のように設定した。
暗号学の基本的な限界であるシャノン限界を超越可能な物理暗号が提案されているが,その実験可能な実現法は存在しない。本研究では,シャノン限界を超える物理暗号を実現する理論モデルである一般化盗聴通信モデルにほぼ等価な特性を持つことが期待される一般化コヒーレント・パルス位置変調法等の実現法を解明することに挑戦する。その具体化として,次の目標を揚げる。
①一般化コヒーレント・パルス位置変調法等と一般化盗聴通信モデルの等価性の検証。②一般化コヒーレント・パルス位置変調法等の実証実験法の確立。③現実の光ファイバ通信システムにおける実現性と適用性を実験確認。
本目的を達成するためステップとして,平成24年度では,次の二つの目標を設定した。(1)一般化コヒーレント・パルス位置変調方式等を光通信デバイスで実現する方法確立。(2)実験検証において必要な評価理論確立。
平成24年度の成果は,「研究実績の概要」に具体的に記述した通りで,(1),(2)共に,当初の予定通り進展している。

今後の研究の推進方策

平成24年度は当初の計画通り進展した。平成25年度は,当初の計画通り,次の二つの目標を設定して,研究開発を推進する。
(I)実験系の運用:前年の原理確認実験系を運用し,信号発生部,信号受信部など各部の機能がどのような特性を持つか,性能限界などを,各部ごとに計測し,理論との整合性を精査する。また,各部のみならず,実験系全体をシステムとしてとらえ,その特性評価を行い,併せて,システムの性能限界を調査する。さらに,より高い精度で実験結果を測定できるよう,原理確認実験系の部品など検討を行い,原理確認実験系の改良方法の検討を実施する。加えて,現状の最高の技術水準の部材を用いて達成できる最高性能について調査を行う。
(II)マスク機能の数値シミュレータ:量子雑音によるマスク機能のシミュレータを構築する。量子雑音という巨視的な量子効果のシミュレーションには,高速の計算機が不可欠である。申請者所属研究所が保有する計算システムでシミュレータを稼働させ,効率的にマスク機能の数値シミュレーションを行い,安全性の理論評価を実施する。
研究者相互の関係は,次の通り。二見は,研究総括と①の原理確認実験系の運用,改良方法検討,最高性能調査。相馬は,②の数値シミュレーション構築と安全性の理論評価。広田は,①の実験結果と②の理論との比較検討。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Quantum random cipher with phase mask encryption2013

    • 著者名/発表者名
      Masaki Sohma, Osamu Hirota
    • 雑誌名

      Tamagawa University Quantum ICT Research Institute Bulletin

      巻: 2 ページ: 5-9

    • 査読あり
  • [学会発表] Coherent pulse position modulation quantum cipher

    • 著者名/発表者名
      Masaki Sohma and Osamu Hirota
    • 学会等名
      11th International Conference on Quantum Communication, Measurement and Computing
    • 発表場所
      Vienna (Austria)
  • [学会発表] Quantum random cipher with phase mask encryption

    • 著者名/発表者名
      相馬正宜
    • 学会等名
      第11回 量子情報ミニワークショップ
    • 発表場所
      鳥羽シーサイドホテル(三重県)
  • [学会発表] Y-00暗号通信システム研究開発状況と展望

    • 著者名/発表者名
      二見史生
    • 学会等名
      第11回 量子情報ミニワークショップ
    • 発表場所
      鳥羽シーサイドホテル(三重県)
  • [備考] 量子情報科学研究所

    • URL

      http://www.tamagawa.jp/research/quantum/

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公開日: 2014-07-24  

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