研究課題/領域番号 |
24656249
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10259822)
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研究分担者 |
小林 美緒 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (30462146)
福田 耕治 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40208955)
伊丹 伸 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60212982)
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キーワード | バイオミメティクス / 生命系のゆらぎ / 生物の適応行動 / 魚類高度 / カオス / フラクタル / 数理モデリング / 制御アルゴリズム |
研究概要 |
本研究の目的は,生物から機能や構造を見出して工学に応用するバイオミメティクスの立場から,魚類行動に注目してその適応的生物行動の原理を解明し,その工学的応用の可能性を研究することにある.徳島県近海で採取された魚類を対象とし,その魚群行動の分析をカオス・フラクタル理論を用いて実施することで,魚類の知覚・意思決定・行動の各プロセスを定量的に定式化する.さらに,システム工学的視点に立った魚行動モデルを構築,その一般的な魚行動モデルを実際の漁法や移動ロボット制御に応用することで,魚行動のバイオミメティクス応用に関する有効性を明らかにすることが目標となる.この目的に沿った平成25年度の研究計画に対する実績を以下に示す. 1.マアジを供試魚とした水槽実験を実施して個体数3,6,12,24匹の魚群行動の実験データ(各4回試行)が取得でき,動画ファイルの画像解析から基礎的なカオス・フラクタル指数の解析できた. 2.民生品のVTRによる撮像システムをやめて,CCDモジュールによるコンピュータ撮像システムを開発し,水中構造物やLED光などの環境刺激を受けた魚群行動計測システムの基礎技術が確立できた. 3.水槽実験から取得したカオス・フラクタル指数から行動パターンを分析するとともに魚行動の自発的ゆらぎ項(t,x,individual)を実装した魚群行動シミュレータを開発し,数値シミュレーションできた.その結果,水槽実験結果と定量的に一致させるには個体間と水中構造物との相互作用を引力・斥力のポテンシャル場の設定だけでは十分でないこと等数理モデリングに関する知見を得ることができた. 以上により,研究計画の「フェーズ2:水槽実験から解析した魚行動パターンからの魚行動モデルとゆらぎ・行動律速方程式による数理的定式化」と「フェーズ3:実際の漁場フィールドを意識した魚類行動シミュレータの開発」を6割程度達成できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・統計的議論が可能な資料数(N=64)の解析データが取得できたが,その画像処理に相当の手間と時間を費やした.さらに,個体数が10匹を超えると現状の個体識別アルゴリズムが破たんする確率が高くなり実験条件によってはN=1しかデータ取得できない場合があるので対策が必要である. ・魚群行動の水槽実験で用いる撮像システムをVTRカメラ単体を用いたものから,高精度のCCDモジュールを用いたコンピュータ計測システムに切り替えるため新システムの構築に手間と時間がかかっている. ・以上の結果,水槽実験の結果を十分に分析・検討することで構築が可能となる「ゆらぎ・行動律速原理による魚行動モデル」の構築と検証するスケジュールが圧迫されている.
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今後の研究の推進方策 |
先の項目で遅延していることを補い,本研究をさらに深いレベルで達成するために今後取り組む研究計画を以下に示す. 1.水槽実験の実験条件の改善:撮像システムをCCDモジュールを用いたコンピュータ撮像システムに変更したことに合わせて,水槽や水中構造物(漁網)の色や形状を改善,多数匹の魚群行動において個体識別のエラーを極力低減して良質なデータを取得する. 2.数値シミュレーションアルゴリズムの改善:現在用いているシミュレーションのアルゴリズムでは水槽実験での魚群の行動パターンを十分に再現できないことがわかったので,モデル方程式の行動律速項:activityを改良する.このことにより「ゆらぎ・行動律速原理による魚行動モデル」の構築を加速させる. 3.カオス・フラクタル解析アルゴリズムの開発:これまで用いてきた泳速ノルムと遊泳軌跡のカオス・フラクタル指標に加え,さらに詳しく生物行動のゆらぎと行動決定の素過程を分離することができる複雑系解析の手法を開発する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では,情報収集と成果発表の旅費として考えていた予算であるが,本年度は撮像システムを新しいものに改変するための研究と開発に手間がかかったため,旅費として予定していた予算をすべて消化することができなかった. 次年度は,新撮像システムの開発がほぼ完了しているので,今後の研究進展状況をある程度予測して情報収集と成果発表の旅行を計画的に実行する.
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