昨年度に引き続き、10GHz帯受信器を用いた測位原理実証実験を行った。受信アンテナは4チャンネルのシステムとしているが、受信器本体は予算規模の関係から単一チャンネルとし、アンテナをサイクリックに切替えて使用している。実験目的の為に、各チャンネルを外部からTTLレベルにより直接選択出来る様追加工を行った。チャンネル選択及び信号受信タイミングの制御をワンチップマイコンで行うシステムを構築し、専用送受信アンテナを用いた計測システムにより、三次元空間内での測位精度1mm、>>100Hzサンプリングの基本性能の確認を行った。また関連科研費である 基盤研究(B) 課題番号 25280065 「マイクロ波を用いた新しい動作計測システムの提案と能楽を対象とした検証」にて10GHz小型送信機システムの開発を行い、この送信機を用いても、市販の10GHz送信機を用いた場合と同等の位置検出精度が達成出来る事、且つ>10m程度の実験・検証に十分な測位範囲を確保出来る事を確認した。 以上の開発により、当初目標を大きく上回る10GHzを送信周波数に用いる技術的ブレークスルーにより、オーバーサンプリングや数値フィルタリング等の後処理に依らず、必要な計測精度を直接達成するシステムの原理実証・構築に成功した。これは当初目的を上回る成果である。 一方送信周波数を上げた事により、専用送信機システムの開発が別途必要となった。このため試験時は送信波として市販のシグナルジェネレータを用いた10GHzサイン波を用い、単一送信源の測位実験のみを行った。送信波にスペクトラム拡散をかけた多点同時測位の実証については、関連科研費による送信機システム側の開発により行う。 多点同時測位の原理実証後に、計測システムとしての応用特許取得予定である。
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